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分裂した彗星を見よう!〜73P/シュワスマン・ワハマン

双眼鏡で見る

どんな双眼鏡がいいの?

アスコット双眼鏡+ビノホルダー

 シュワスマン・ワハマン彗星でもっとも明るくなるC核彗星は、5月中旬には手持ちで使える程度の双眼鏡でも、じゅうぶんに楽しめるはずです。新たに双眼鏡を入手しようという人に、お勧めしたいのは、低倍率で実視界の広い双眼鏡です。

おすすめは、見かけ視界が85°もあり、覗いた時の視界の広がり大きく、星空散歩や彗星観察に最適な双眼鏡「アスコット双眼鏡SW10×50」と双眼鏡をカメラ三脚に固定するアダプター「ビノホルダー」です。手ブレを気にせずにゆっくりと観察することができます。

 シュワスマン・ワハマン彗星は、いくつかの核に分裂していることがわかっていますが、地球にもっとも接近して明るく見える頃には、それぞれの核の見かけの角度が離れてしまうので、一度にまとめて見るためには実視界の広い低倍率の双眼鏡が必要です。また、彗星がそれほど明るくならず、肉眼で位置がわかりにくい時にも、ちょっとした視力強化装置的に利用できて便利でしょう。

彗星の見え方

市街地と郊外での見え方のイメージ

 4月、5月とも中旬に満月となるので、月明りの少ない期間は、4月下旬から5月初旬の、ちょうどゴールデンウィーク頃ということになります。出かけるのであれば、できれば山や高原など、標高が高いところのほうが一般的に高い透明度が期待できます。

 また、彗星を見えにくくする原因として悩ましいのが「光害」の影響です。

市街地と郊外での見え方のイメージ。都市部では肉眼で確認するのはおそらく困難で、双眼鏡でも彗星の中心部しか見えないかもしれない。

 双眼鏡を使えば、彗星の中心部の明るい領域は都市部でも見ることができますが、彗星の淡い光の大部分が夜空の明るさに埋もれてしまい、郊外での見え方とは雲泥の差があると予想されます。大型連休などを利用して市街地を離れ、少しでも空の暗いところへ出かける計画を立てるとよいでしょう。

彗星の見つけ方

ステラナビゲータVer.7による5月5日0:00の星空

 実際に双眼鏡でシュワスマン・ワハマン彗星を見つけてみましょう。

右図は、ステラナビゲータVer.7による5月5日0:00の星空(クリックで拡大)。緑色の丸は双眼鏡の視野を表した「視野円」で「アスコット双眼鏡SW10×50」で見える範囲を示しています。

ステラナビゲータ Ver.7 pdfファイルステラナビゲータVer.7で作成した星図のpdfをダウンロードしていただけます。ダウンロードしたpdfをプリントアウトして、シュワスマン・ワハマン彗星を見つけてみて下さい。
ダウンロード:[20060505.pdf](60KB)

見つけ方

1)0:00頃、東の空にある「夏の大三角」をまず見つけましょう。

2)「夏の大三角」の、はくちょう座「デネブ」と、こと座の「ベガ」を線で結びます。

3)その線を天頂に向かって伸ばしていき、「デネブ」と「ベガ」を結んだ距離の約半分のところに、分裂した核の中で一番明るい「シュワスマン・ワハマン(C核)」があります。

ポイント

・観測条件に関わらず、明るい照明が視界に入らない場所を選ぶこと。
・少しでも暗闇に目を慣らすこと。
・見え方は非常に淡いので、凝視せず流し目で見ること。

 そして最後に、過度な期待をしてはいけない、ということも付け加えておきます。観測条件が良くても、シュワスマン・ワハマン彗星の光度はこのままいけば最高でも3.5等です。これは全光度といって、広がっている彗星の光の全体を合わせての明るさなので、一点で光る3.5等級の恒星よりも見た目では暗く感じることでしょう。しかし、実際に双眼鏡で彗星を見つけた時の喜びは、見た者でなければ味わえません。ゴールデンウィーク中ぜひ、双眼鏡を片手に彗星を見つけてみて下さい。