天文ニュース(168)で、リンカーン研究所チームがリニア彗星を発見したことをお知らせしました。 このチームが、さらに2個の新彗星を発見しました。
ひとつは、5月24日に新彗星であることがわかった C/1998 K2(LINEAR) で、13等くらいの明るさをもち、「へびつかい座」と「さそり座」の境界付近を南西に移動していました。 現在でも13-14等の明るさを保っていますが、南の低い空にあるので、日本からはあまり観測しやすくはありません。
もうひとつはC/1998 K3(LINEAR) で、5月23日の像から確認されています。 この彗星は「へびつかい座」にありますが、17.8等とかなり暗く、北西に移動しています。 これらの彗星は、前回のC/1998 G1 を含めて、全部がリニア彗星と呼ばれます。 区別が必要なときには、C/1998 K2 などの認識符号で区別してください。
国際天文学連合回報による暫定放物線軌道要素と予測位置を以下に示しておきます。
C/1998 K2(LINEAR) 近日点通過時刻 = 1998 Sept.3.169 TT 近日点引数 = 222.421 昇交点黄経 = 68.757 (2000.0) 近日点距離 = 2.30537 AU 軌道傾斜角 = 64.278 日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離 日心距離 太陽離角 明るさ 1998 時 分 度 分 AU AU 度 等 May 27 16 50.20 -30 53.3 1.562 2.560 167.5 13.6 June 1 16 39.74 -33 8.3 1.534 2.537 168.8 13.5 6 16 28.41 -35 20.6 1.518 2.514 166.0 13.4 11 16 16.41 -37 27.5 1.511 2.492 160.7 13.4 16 16 4.04 -39 26.3 1.515 2.472 154.6 13.3 21 15 51.59 -41 15.4 1.529 2.452 148.2 13.3 26 15 39.42 -42 53.9 1.552 2.434 141.9 13.3 C/1998 K3(LINEAR) 近日点通過時刻 = 1998 Mar. 3.897 TT 近日点引数 = 46.986 昇交点黄経 = 307.813 (2000.0) 近日点距離 = 3.53934 AU 軌道傾斜角 = 160.184 日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離 日心距離 太陽離角 明るさ 1998 時 分 度 分 AU AU 度 等 May 27 16 27.94 + 3 0.0 2.675 3.622 155.5 17.7 June 1 16 15.67 + 3 40.3 2.693 3.631 153.9 17.8 6 16 3.66 + 4 15.5 2.726 3.642 150.3 17.8 11 15 52.10 + 4 45.0 2.771 3.653 145.4 17.8 16 15 41.13 + 5 8.9 2.829 3.664 139.9 17.9 21 15 30.87 + 5 27.2 2.897 3.676 134.0 18.0 26 15 21.40 + 5 40.3 2.976 3.689 127.9 18.0
参照 | IAUC 6915(May 25,1998) |
IAUC 6916(May 26,1998) |
1998年5月28日 国立天文台・広報普及室
天文ニュース(174)で、ソーホー彗星は全部で44個とお伝えしましたが、これはIAUCに掲載されたものの46個目でした。 また(176)でミュラーの彗星発見を12個としましたが、正しくは13個でした。いずれも小島卓雄氏のご指摘によるもので、謹んで訂正いたします。