ベネット彗星(1970年) C/1969 Y1

1969年12月に南アフリカのJ.C.ベネットさんが発見した彗星で、翌年70年3月20日の近日点通過の時には、明るさがマイナス3等に達しました。20世紀でもっとも明るくなった彗星と言われています。


(川地博氏撮影のベネット彗星の写真)

タイトル:
「暁天のベネット彗星」
撮影者:
川地 博
撮影日時:
1970年4月6日 4時7分、露出 15秒
撮影地:
兵庫県神戸市灘区伯母野山地区
撮影機材等:
アサヒペンタックス SP、ペンタックス スーパータクマー 55mm F1.8、コダック トライ-X、固定撮影
撮影者コメント:

私にとって池谷・関彗星と共に忘れられない彗星です。当時のメモに彗星は先月末頃斜めだった尾が、少々立ち上がってきた感じとの記述があります。野犬の群れとにらみ合っての撮影もこの頃でした(現在では住宅地に変貌)。

残念なことに自分でモノクロプリントをしていた頃とは違い、最近ではモノクロのプリントをしているところは皆無のカラー全盛時代。やっとモノクロプリントの外注先を紹介して頂き、焼いて貰ったが、全く満足できるものではなく、落胆しきり!!


(安田武志氏撮影のベネット彗星の写真)

タイトル:
「ベネット彗星」
撮影者:
安田 武志
撮影日時:
1970年4月6日 3時30分、露出 40秒
撮影地:
秋田県秋田市
撮影機材等:
ミノルタ SR-1 50mm F1.8、トライ-X、固定撮影
ミクロファイン10分現像
撮影者コメント:

34年前の4月、ベネット彗星は明け方の空にその雄姿を見せた。当時は秋田市の空も暗く、自宅から少し離れた小高い丘で、多くの星を従えて登ってきた大彗星ベネットの姿に感動と感激を覚えた。最近のヘールボップ彗星と比べると、少し細身ではあったが、核は明るく全体の長さも上回っていたと思う。その後、4月中旬までその姿を追い続けたが、当時はあまり一般の話題になることがなく、静かに惜しまれながら去っていった。


(高崎繁樹氏撮影のベネット彗星の写真)

撮影者:
高崎 繁樹
撮影日時:
1970年4月1日 早暁、露出 数秒
撮影地:
石川県金沢市
撮影機材等:
アサヒペンタックス SP、F1.8 50mm開放、フジパンSS(ASA 100)
自家現像
撮影者コメント:

「おい起きや、空になんか明るいもんが光っとるぞ」父の大声で起こされた私は眠い目をこすりながら玄関に出て父の指さす方を見上げました。当時高校2年新学期直前の私は天文趣味とは全く無縁であったため、そのとてつもなく明るく細長い物体が何なのかすぐにはわかりませんでした。しばし日の出前の美しい空、オレンジとブルーの狭間に見たこともない不思議な光芒に見とれているうちに「もしやこれが彗星というものか…」。新聞配達をしてためた小遣いで買ったカメラで適当な露出で2、3コマ撮った一枚です。画質、構図は最悪ですが私にとって貴重な「初めて撮った天体写真」であり、私の天文趣味の原点でもあります。データを思い起こすうちに前年のアポロ11号の月着陸やこの年の大阪万博も懐かしく感じられます。また撮影日時はステラナビゲータ Ver.6で特定ができたことは幸いでした。本企画に感謝申し上げます。


(早苗外松氏撮影のベネット彗星の写真)

撮影者:
早苗 外松
撮影日時:
1970年3月末 5時頃、露出 2分
撮影地:
富山県砺波市
撮影機材等:
キヤノン FTb、FL 50mm F1.8開放、ネオバンSS、固定撮影
自家現像
撮影者コメント:

父と町へ農産物を運んだ時に、新潟から車でこられた人が来る途中、大きな彗星を見たと話されており翌朝早く起きて三脚を構えて撮影しました。薄明中も明るく輝いていたと思います。


(大野一郎氏撮影のベネット彗星の写真)

撮影者:
大野 一郎
撮影日時:
1970年3月31日 3時58分、露出 6分
撮影地:
石川県金沢市
撮影機材等:
キヤノネット 45mm F1.9→2.8、フジカラー R100、固定撮影
撮影者コメント:

中学卒業の年、私が初めて見た彗星です。肉眼ではっきり見えた長い尾や、望遠鏡で見た核の構造など、素晴らしい姿は今でも目に焼き付いています。この日のベネット彗星の光度は1.0等級で、ペガスス座を移動中です。南天には下弦過ぎの月(月齢23.1)が輝いていました。


(瀧本郁夫氏撮影のベネット彗星の写真)

撮影者:
瀧本 郁夫
撮影日時:
1970年4月6日 3時45分、露出 12分
撮影機材等:
オリンパス PEN-S 30mm F2.8、ペンタックス 6cm屈折経緯台、フジカラー R-100
撮影者コメント:

当時は、赤道儀を持っていなかったため、経緯台を傾けてガイド撮影をしたため、画像周辺は回転しています。カメラはハーフサイズ、フィルムは当時ASA100のフジカラーR-100での撮影ですが、ほんとに明るい彗星で、簡単に写りました。あれから33年が経ち、当時のフィルムは傷んでいたのですが、なんとかプリントをし、スキャナーで取込み修正しました。春のあけぼのの中で、空が青くなってきてもこのベネット彗星だけはしっかりと見えており、まさしく感動の彗星でした。空が暗かったことも多少ともあるかも知れませんが、これ以後、この彗星を上回る彗星を未だ見ておりません。


(森田宏明氏撮影のベネット彗星の写真)

撮影者:
森田 宏明
撮影日時:
1970年4月5日 未明
撮影地:
熊本県熊本市
撮影機材等:
フジペット35、フジナーK 45mm F3.5開放、トライ-X、固定撮影
撮影者コメント:

15歳の春、生まれて初めて肉眼で見た彗星です。薄明の東天に、西の木星とともに最後まで消え残り、黄金色に輝いていた勇姿は忘れられません。とにかく明るくて、うす曇りでほかの星は見えないのに、彗星だけが見えて驚いたこともありました。当時使っていた子供向けカメラのF3.5のレンズでも、彗星の尾がはっきり写っていて、自分で現像したネガを見た瞬間に感激しました。


(田代貞氏撮影のベネット彗星の写真)

撮影者:
田代 貞
撮影日時:
1970年3月27日 5時0分、露出 10秒
撮影地:
静岡県磐田郡豊岡村
撮影機材等:
アサヒペンタックス S2、スーパータクマー 55mm F1.8開放、フジカラー R100、三脚固定
撮影者コメント:

高校卒業18歳の春、極上のお祝い品を空から頂きました。大彗星べネットです。初めて見るほうき星に興奮し、毎日早起きをして夢中でシャッターを押していました。尾は短かったけれど頭部はぎらぎらと金色に輝き朝焼けの空に映えるその美しさは一生忘れられない姿です。たなびく雲は遠江二俣駅のSLの煙で、操車場からたなびいてきたものです。なつかしい臭いのするこの写真は十代のノスタルジーに浸ることができる私のお宝写真です。


(加藤惠一氏撮影のベネット彗星の写真)

撮影者:
加藤 惠一
撮影日時:
1970年3月29日 4時14分45秒、露出 15秒
撮影地:
和歌山県和歌山市北小雑賀
撮影機材等:
(カメラ)コニカIII ヘキサノン 48mm F2.0開放、(フィルム)コニパンSS(ASA 100)、固定撮影
撮影者コメント:

ベネット彗星を見たのは高校2年生のときで、私が見た最初の大彗星となりました。核の光度がひじょうに明るく、太陽が昇ってきてからも、こと座のベガよりも明るくきらきら輝いていて最後まで見えていたのが記憶に残っています。また、そのころ開催されていた大阪万博に、この翌日に出かけたことも思い出しました。


(松本直弥氏撮影のベネット彗星の写真)

撮影者:
松本 直弥
撮影日時:
1970年4月5日 4時39分30秒、露出 3分
撮影地:
長崎市上小島町 長崎南高校屋上
撮影機材等:
ニコン 8cm屈折赤道儀、Nikomat FTn、ニッコール 105mm? F2.5開放、トライ-X、手動ガイド
パンドール 10分現像(20度)
撮影者コメント:

ベネット彗星を見たのは高校3年の春、私が見た最初の大彗星で、今に至るまでの天文人生を歩むきっかけになった天体である。

長さ20°ほどの尾が肉眼ではっきり見え、初めて見た時には、こんなに不思議なものがこの世にあるのかと思った。それ以来、彗星を見るのがやみつきになってしまった。

写真は母校での観測会の際に撮影したもので、トライ-Xやパンドールなどのなつかしい文字が並んでいる。この観測会には、後に百武彗星を発見することになった故百武裕司さんも参加されていた。