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2019年1月6日 部分日食

2019年1月6日(日)、朝8時半ごろから昼12時ごろにかけて、日本全国で部分日食が見られます。日本から日食が見られるのは2016年3月9日以来、約3年ぶりです。

太陽の高度があまり高くないので、観察場所や撮影場所を事前にチェックしておくことがポイントです。安全にじゅうぶん気をつけて観察しましょう。

日食の時刻と欠け具合

日食の時刻(始まり、最大、終わり)は地域によって異なりますが、おおむね「8時40分ごろに始まり、10時ごろに欠け具合が最大になり、11時30分ごろに終わり」ます。

欠け具合は「食分」という値で表します。太陽の直径のうち、どれだけ月に隠されているかを示す数値です(面積ではありません)。日本では、北東の地域ほど食分が大きくなり、太陽が大きく欠けます。

時刻だけでなく方位や高さも重要なポイントです。これも地域によって異なりますが、だいたい「南東の方角」「高度15度から30度」あたりです。冬至から2週間しか経っていないので、太陽の高度はかなり低めです。観察予定の場所からどのように見えそうか、事前に確認しておきましょう。

都市名始まり最大終わり
時刻高度時刻高度食分欠ける面積時刻高度
札幌08:46.51310:13.4220.5442%11:47.324
仙台08:44.71610:09.7260.4735%11:42.529
東京08:43.81810:06.0270.4230%11:36.532
大阪08:40.61509:57.1250.3826%11:22.532
福岡08:38.61309:47.4230.3220%11:04.731
那覇08:50.31709:39.2250.14 6%10:33.033

部分日食の時刻と欠け具合

部分日食の時刻と欠け具合を掲載した地図。画像クリックで表示拡大(ムック『アストロガイド 星空年鑑 2019』より)

札幌、東京、福岡から日食を見た様子。欠け方や太陽の高度の違いがわかる(ステラナビゲータでシミュレーション)。

他の動画は ›› アストロアーツYouTubeチャンネル [YouTube]

食分と面積の関係

食分と面積の関係。面積の数値は今回の部分日食における太陽と月の見かけの大きさから概算。画像クリックで表示拡大。

安全な観察のために

日食を観察するときは、以下の点に十分注意してください。誤った方法で見ると、失明等の重大な視力障害を引き起こすおそれがあります。

[PDF]「日食を安全に観察する」
(「星ナビ2012年6月号」より)

減光フィルターを正しく使いましょう

日食(太陽)を見るには、観察用の減光フィルターが必要です。めがねやプレートなど、様々なタイプのものがあります。

  • 双眼鏡や天体望遠鏡と組み合わせて使ってはいけません(可能と明記された一部の製品を除く)。普通の視力矯正用眼鏡やコンタクトレンズを着けたまま、フィルターで観察するのは問題ありません。
  • 使用する前に、フィルターに穴が空いたり破れたりしていないか確認しましょう。
  • まず、視線を下げた状態で、体だけ太陽の方向に向けます。
    次にフィルターを顔の前にかざし、それから太陽を見上げます。
    見終わったら、視線を下げてからフィルターを外します。
  • フィルターを使用していても、長時間(目安として2、3分以上)続けて観察してはいけません。時々、目を休めましょう。

日食観察用グッズ

日食観察用グッズは「アストロアーツ オンラインショップ」でお取り扱いしています。下敷きのように見えるのは安全が確認されている「日食観察プレート」です。

日食は、減光しなければ肉眼では見えません

「日食めがねなどがなくても、ちらっと見ればいいや」なんて思っていませんか。太陽が欠けているといっても明るさは普段の太陽とほぼ同じです。減光する観察道具を使わなければ、まぶしすぎるために欠けている様子は全くわかりません。そればかりか、短時間であっても肉眼で無理に見ようとすると、目にダメージを与えるおそれがあります。

肉眼では見えません

うす曇りでも肉眼での観察は危険です

うす曇りになると減光する道具越しでは太陽が見えないので、つい道具を外して肉眼で見てしまいがちですが、これも危険です。目がまぶしさに慣れてしまうために危険な光量にもかかわらず見続けてしまったり、雲間から急に太陽が出てきたりするおそれがあります。

うす曇りのときもじゅうぶん注意が必要です

「日食(太陽)観察用」以外の道具で見てはいけません

サングラスや黒いビニール袋など日食観察に使えそうなものでも、可視光線が十分カットされていなかったり、紫外線や赤外線といった目に有害な光線を通したりすることがあるので危険です。

必ず「日食(太陽)観察用」と明記された製品を使いましょう。

また、撮影で用いるNDフィルターも、肉眼での観察には使えません。

紫外線や赤外線も弱める必要があります

「太陽投影板」という器具を望遠鏡に取り付けて大きく拡大して観察する方法や、ピンホールを利用する方法などもあります。詳しくは[PDF]「日食を安全に観察する」などを参考にしてください。

インターネット中継サイト リンク集
(情報提供:星の情報.jp/作成:JAPOS、姫路科学館)

日食について

日食とは、太陽−月−地球がほぼ一直線上に並んだときに地球から見て月が太陽の前を通り、太陽の一部または全部を隠してしまう現象です。大きく3タイプに分かれます。

皆既日食

太陽と月の中心がほぼ重なり、太陽がすべて隠されるタイプの日食です。2017年8月21日(現地時間)に北米大陸で見られた日食や2019年7月2日(現地時間)に南米で見られる日食が皆既日食です。

皆既中の数分間は空が夜のように暗くなり、肉眼でも太陽の外気層である「コロナ」が輝いて見えます。あらゆる天文現象のなかでも、とりわけドラマチックなもので、とくに皆既食の始まりと終わりに瞬間的に見える「ダイヤモンドリング」はハイライトです。

皆既日食が起こるのは「皆既帯」と呼ばれる領域の範囲内だけで、皆既帯の南北の中心に近いほど、また東西の中央付近ほど、皆既食の継続時間が長くなります。また、皆既帯の外の広い範囲で部分日食が起こります。

皆既日食の説明図

金環日食

太陽と月の中心がほぼ重なるという点で皆既日食と似ていますが、月が地球から遠い場合には月の見かけの大きさが小さいので、太陽をすべて隠すことができません。そのため、太陽と月がちょうど重なっているときにも太陽の外縁部分がリング状に見えます。金環日食では空は真っ暗にはなりません。

金環日食も「金環帯」と呼ばれる領域の範囲内だけで起こり、その外の広い範囲で部分日食となります。2012年5月21日には日本の太平洋岸を金環帯が通りました。2019年12月26日にもインド洋、インドネシアなどで金環日食が起こります。

金環日食の説明図

部分日食

月が太陽の一部だけを隠すタイプの日食です。皆既日食や金環日食の際に中心食帯の外側で見られ、中心食帯に近いほど太陽が大きく隠されます。2019年12月26日にインド洋、インドネシアなどで起こる金環日食では、日本でも部分日食が見られます。

また、世界中のどこでも部分日食しか起こらないという場合もあります。今回2019年1月6日の日食はこのパターンです。

皆既日食の説明図

日食ギャラリー

2012年5月21日 日本横断金環日食でのベイリーズビーズ(撮影:大熊正美(アストロアーツ)、協力:磯谷英志(ウェザーニューズ)、早出誠、宮林健治(信州スカイパーク))

2015年3月20日 北大西洋・スヴァールバル諸島・北極海皆既日食(撮影:上山治貴(アストロアーツ))

2017年8月21日 2017年8月21日 アメリカ横断皆既日食(撮影:大熊正美(アストロアーツ))

今回の日食

今回の日食は中国、日本、シベリア東部、太平洋北西部などで見られます。皆既日食や金環日食に伴うものではなく、部分日食しか起こらないパターンの日食です。

図の説明

  • 黄色の線とオレンジ色の線で囲まれた範囲で日食が見られます。
  • 黄色の線の内側では最大食(その場所で太陽が最も大きく欠ける状態)を見ることができます。
  • オレンジ色の線のうち外側は「(左上)日出時に部分食が終わるか、(右上)日没時に部分食が始まる」限界線です。内側は「日出時に部分食が始まるか、日没時に部分食が終わる」、つまり部分日食を全過程見られる範囲を表します。
  • 中央上の三角形に囲まれた地域は「日食の始まりも終わりも太陽が地平線の下で見えないが、最大食の時は見える」場所です(ただし超低空です)。

日食帯の図

「エクリプスナビゲータ3」で作成。画像クリックで表示拡大

過去、将来の日食

2015年〜2023年の日食の一覧です。日付はいずれも「Greatest Eclipse(最も太陽が大きく欠ける)地点で日食が最大となる時刻を含む日本時間」で表しています。

日本で次に日食が見られるのは2019年12月26日で、昼過ぎから夕方にかけて全国で部分日食が見られます。とくに東日本では太陽が欠けた状態で沈んでいく「日没帯食」となります。日本で皆既日食が見られるのは2035年9月2日(皆既帯は北陸〜北関東)、金環日食が見られるのは2030年6月1日(金環帯は北海道)です。

日付種類主な観測可能地域日本での見え方
2015年
3月20日
皆既北大西洋、スバールバル諸島、北極海
2015年
9月13日
部分南アフリカ、南インド洋、南極
2016年
3月 9日
皆既インドネシア、北太平洋全国で部分日食
2016年
9月 1日
金環中部アフリカ、南インド洋
2017年
2月26日
金環南大西洋、アフリカ
2017年
8月22日
皆既北アメリカ、中部大西洋
2018年
2月16日
部分南極
2018年
7月13日
部分オーストラリア南部、南極
2018年
8月11日
部分ロシア、中国
2019年
1月 6日
部分中国、日本、北太平洋全国で部分日食
日付種類主な観測可能地域日本での見え方
2019年
7月 3日
皆既南太平洋、南アメリカ
2019年
12月26日
金環インド洋、インドネシア全国で部分日食
(東日本では日没帯食)
2020年
6月21日
金環アフリカ、アラビア半島、インド、中国、台湾全国で部分日食
2020年
12月15日
皆既南太平洋、南アメリカ、南大西洋
2021年
6月10日
金環カナダ、北極海、シベリア東部
2021年
12月 4日
皆既南極
2022年
5月 1日
部分南アメリカ
2022年
10月25日
部分ヨーロッパ、北アフリカ、中近東
2023年
4月20日
金環
皆既
インド洋、インドネシア南西諸島、九州南部、紀伊半島などで部分日食
2023年
10月15日
金環北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ

過去の日食で日付からリンクされているものは、天体写真ギャラリーへリンク。

2019年の天文現象は「アストロガイド 星空年鑑」でチェック!
毎月の天文現象は「星ナビ」でチェック!

「アストロガイド 星空年鑑 2019」

2019年は12月26日にも全国で部分日食が起こります。間の7月には西日本で部分月食と南米で皆既日食が起こるほか、夏には木星と土星が見ごろとなります。日々の星々や月の満ち欠け、季節の星座の見え方もしっかりチェックしておきたいところ。

「アストロガイド 星空年鑑 2019」ではそんな見どころや季節の星座を、書籍とDVD番組で詳しく紹介。さらに付属の天文シミュレーションソフトで、現象の見え方や時刻などを調べることもできます。今回の日食の見え方も、もちろん確かめられます。

「アストロガイド 星空年鑑」で、2019年の天文現象を予習したり観測計画を立てたりしてみましょう。

また、月刊誌「星ナビ」でも、毎月の空の見どころや宇宙探査、観察機材、グッズ、イベントなど様々な情報をお届しています。