16年ぶり、そして21世紀最大の「大接近」

[image: それぞれの年での地球と火星が接近する位置]

火星は太陽系の第四の惑星で、地球の外側を 687日で公転しています。地球は火星の内側を約 2年2か月ごとに追い付き、追いこしていきます。そのときが地球と火星の接近になります。 ただし、火星の公転の中心がずれているため、接近したときの地球と火星の距離が遠いとき(小接近)と、ひじょうに近いとき(大接近)があり、これを約15年もしくは、17年ごとにくりかえします。 今年2003年の接近は、その「大接近」にあたり、しかも 21世紀でもっとも接近することになります。

接近ごとの見かけの大きさのちがい

視直径という角度で表わすと、接近時の見かけの大きさは、小接近で 14"(秒角)、大接近で 25"と、2倍近くの差があります。

2001年から2014年までの火星最接近時の見かけの大きさの比較
[image: 2001年6月の火星の画像] [image: 2003年8月の火星の画像] [image: 2005年10月の火星の画像] [image: 2007年12月の火星の画像] [image: 2010年1月の火星の画像] [image: 2012年3月の火星の画像] [image: 2014年4月の火星の画像]
2001年6月 2003年8月 2005年10月 2007年12月 2010年1月 2012年3月 2014年4月
-2.3等 -2.9等 -2.3等 -1.6等 -1.3等 -1.2等 -1.4等
20.8" 25.1" 20.2" 15.9" 14.1" 13.9" 15.2"

2003年の火星の動き

火星はふだん、星座の中を西側から東側へと移動して見えます。8月から 10月にかけては、地球が火星を追いこしていくときで、逆に東から西に移動して見えます(図の火星は見かけを 500倍に拡大してあります)。

[image: 2003年の火星の軌跡]

最接近は8月27日

[image: 2003年最接近の前後]

このときの地球と火星の距離は約5575万8000kmで、これは地球と太陽の距離の約 3分の1 にあたります。

火星の自転と模様の変化

火星は約24時間半で 1回自転しています。そのため、時間をおいて観察すると、表面の模様が変わって見えます。

下の火星は、火星が 60度回転(4時間6分ごと)し、一周したときの模様の変化です。火星南極のドライアイスの極冠が白く見えています。

火星の自転と表面の模様の変化
中央経度 0°の火星 中央経度 60°の火星 中央経度 120°の火星 中央経度 180°の火星 中央経度 240°の火星 中央経度 300°の火星
中央経度 0° 60° 120° 180° 240° 300°