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スカイウオッチャー1998年12月号の訂正


【1998年11月12日 アストロアーツ・スカイウオッチャー編集部

天文雑誌スカイウオッチャー1998年12月号(11月5日発売)において大きなミスがありましたので訂正します。

1998年12月号78ページから始まる「ウオッチャーズガイド」の79ページの「12月の星空概要」と80ページの「12月の太陽系・惑星データ」の原稿が、編集上のミスで1997年12月の原稿となっていました。 ですので、掲載されている天文現象の解説は昨年12月のもので、今年の12月の状況とは大きく食い違っています。

以下に、正しい1998年12月の「12月の星空概要」と「12月の太陽系・惑星データ」を掲載します。 なお、誌面に掲載されている星図や惑星の形などの図版は正しく1998年のものですので、文章のみを以下に読み替えてください。

編集上のミスで、読者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びし、今後同様なミスを繰り返さないよう充分にチェックいたします。


■1998年12月の星空概要(12月号79ページ)

 12月22日が冬至なので、12月から1月にかけては1年中で最も夜の時間が長い日々が続く天文ファンにとっては喜しい星空のシーズンだ。 寒さも厳しいが星空はそれだけ透明度もよく星の輝きもすばらしいものになってくれている。 ▼さて、発売日の関係からいえば、12月号でも11月17日〜18日ごろピークになるしし座流星群の話題ははずせないことになる。 33年に1度の大流星雨を目にすることのできる絶好のチャンスがやってきたからだ。 金星並みの明るい流星が多く、万一、出現が少なかったとしても満足できるものだからとにかく目を離さないようにしたい。 ▼しし座流星群はもちろん月明もなく好条件で楽しめるが、12月13日〜14日ごろピークとなるふたご座流星群も月明かりが無く好条件で見られる。 しし座流星群ももちろんだが、この方も出現数の多いものだけに見のがせないものだ。 放射点はふたご座のカストルの近くにあるので、ほぼ一晩中放射点の高度が高く見やすい流星群だ。 ▼12月の日暮れの早まった宵の空ではあいかわらず南の中天高く木星と土星の輝きが人目を引いている。 しかし、そうはいっても木星は12月14日には、太陽の東側へ90度離れて東矩になるので、早い時刻のうちに西空へ傾いてしまうので、日暮れになったら見るようにしてほしいものだ。 ▼夕空の惑星といえば、もうひとつ、日暮れ前の西の空低く明るい星が目につきはじめている。 宵の明星の金星だ。 金星はこれから急速に高度が高くなってくる。 ▼宵の南の空では12月初旬のころ極大光度になると予想されているくじら座のミラが注目天体だ。 明るさは3等級台にはなっているので肉眼で見つけるのは楽だ。 ▼宵の見物ではもうひとつおうし座の1等星アルデバランが満月直前の月に隠される現象が12月3日にある。 月は明るいが双眼鏡があれば潜入、出現ともに楽に見られる。

■1998年12月の太陽系・惑星データ(12月号80ページ)

●水星
 12月2日に太陽と地球の間に入りこむので月初めの頃は太陽に近く見られない。 西方最大離角になるのは12月20日で、このころ夜明け前の東天ごく低く姿を見せることになる。

●金星
 10月29日の外合以来、夕方の西天低くに姿を見せいるが、12月に入るとやっと高度も高くなって月末には10度を超える。 したがって宵の明星としてなんとかその存在が目につくようになるのは年末のころからだろう。 今回の金星は高度が高くなるので、99年2月ごろにはもう20度を超え見やすくなる。

●火星
 来年5月2日が地球最接近なので、後半年にせまっているが、まだ見かけの大きさは小さく望遠鏡でその表面のようすを見るのはやっかいだろう。 夜明け前の南よりの空でひときわ赤く輝く星を見つけたら火星と思ってまずまちがいはない。

●木星
 宵の南の中天高くひときわ明るい輝きを放っているので、すぐそれとわかるが、12月に入ると西へ傾く時刻が早まってくるので、観測はできるだけ早目にはじめるのがよいといえる。

●土星
 南の中天の高度も高く、宵の空で今が一番の見ごろとなっている。 土星の輪の傾きも美しいが、冬は気流の乱れが大きく、その姿をきっちり楽しめるチャンスは少ない。 好シーイングの夜を逃さないようにしてみたい。

☆12月のおもな天体どうしの接近
●3日21時57分:月がおうし座のアルデバランに00°36.4′
●9日15時00分:月がしし座のレグルスに00°01.0′
●12日23時54分:金星がいて座の干潟星雲M8に00°11.1′
●16日15時48分:金星がいて座の球状星団M28に00°48.1′
●18日19時30分:金星がいて座の球状星団M22に00°20.3′
●31日08時12分:月がおうし座のアルデバランに00°33,1′

●12月の太陽、月、惑星の位置(81ページ上段)
 12月22日が冬至なので、12月は一年中で最も夜の時間が長くなる季節で、日の入りが早く日の出が遅くなるころだ。 12月の月相は、4日が満月で、11日が下弦、19日が新月、26日が上弦となっており月なかばに月光がないことになる。

●12月の月、惑星の出没図(81ページ3段目)
 太陽、月、惑星などの主要天体の出没を知ることができるが、これは東京付近を基準とした値なので、これより西側の地方では、時刻が遅くなったりするなどの地方差がある。 もちろん、これはおよその目安を知るのが目的なので、ほぼ似たようなものとみなしても実用上のさしつかえはない。 “暗夜”は月明かりのない時間帯を、“月明”の部分は月が出ていてその時間帯は夜空が明るくなっていることを示す。

●12月の惑星の高度変化図(81ページ下段)
 時間とともに変化する見かけの高さを示したもので、カーブの頂点が南中時で観測に好つごうな時間帯である。 12月は宵の南の空で木星や土星が見やすいほか、宵の明星の金星が夕空に姿を見せはじめているのもわかる。 火星は夜半後に東天に昇る。

●12月の惑星現象
2日:水星が内合(太陽と地球の間)
2日:冥王星が合(太陽の向こう側)
11日:水星が留(黄経方向の運動停止)
14日:木星が東矩(太陽に東側へ90度)
20日:水星が西方最大離角(太陽の西側へ22°57′)
31日:土星が留(黄経方向の運動停止)


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