【1998年8月13日 国立天文台・天文ニュース(195)】
オーストラリア、シドニー近郊、ヒースコートのウイリアムズ(Williams,Peter)は、8月10日に、口径30センチの反射望遠鏡によって「みなみのさんかく座」に9.5等の新彗星を眼視で発見しました。 中心に13等の恒星状の中央集光があり、位置角103度の方向に短い尾が伸びていると報告されています。 この彗星の認識符号は C/1998 P1 で、通称はウイリアムズ彗星です。 詳細な状況がわからないと確定はできませんが、この発見は、6月に制定されたエドガー・ウイルソン賞の初の候補になると思われます。
その後の観測によって暫定放物線軌道が求められています。 国際天文学連合回報(IAUC)による軌道要素と予測位置は、以下の表のとおりです。
現在の位置は「ケンタウルス座」で、日本からは観測できません。 今後は北に移動しますが、見かけ上太陽に近付きますから、当分、日本からは観測しにくい状態が続きます。 しかし、暫定軌道要素をもとに計算しますと、いつたん地球から2天文単位以上離れたウイリアムズ彗星は、その後再び地球に近付きます。 来年1月末には1天文単位くらいにまで接近しますから、7等級台の明るさになって、「しし座」付近にほぼ一晩中見える可能性があります。 小望遠鏡でも見えるかもしれません。
近日点通過時刻 = 1998 Oct.16.95TT 近日点引数 = 292.81 昇交点黄経 = 156.09 (2000.0) 近日点距離 = 1.1623 AU 軌道傾斜角 = 145.62 日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離 日心距離 太陽離角 明るさ 1998 時 分 度 分 AU AU 度 等 Aug. 15 14 35.94 -59 42.0 1.053 1.520 94.7 9.4 20 14 13.45 -54 23.7 1.142 1.473 86.0 9.5 25 13 59.76 -49 50.7 1.239 1.428 78.1 9.5 30 13 50.91 -46 0.8 1.339 1.385 70.7 9.5 Sept. 4 13 44.94 -42 47.5 1.440 1.345 63.8 9.6 9 13 40.79 -40 4.0 1.539 1.308 57.4 9.6 14 13 37.81 -37 44.3 1.634 1.274 51.2 9.6 19 13 35.64 -35 43.4 1.723 1.244 45.4 9.6 24 13 34.02 -33 57.6 1.805 1.218 39.9 9.6 29 13 32.77 -32 23.5 1.879 1.197 34.6 9.7 Oct. 4 13 31.78 -30 58.7 1.943 1.181 29.5 9.7
参照 | IAUC 6986(Aug.11,1998). |
IAUC 6988(Aug.12,1998). |