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生まれたての惑星状星雲


【1998年3月19日 NASA発】

ハッブル宇宙望遠鏡の近赤外マルチスペクトロメータで惑星状星雲の観測に成功した。
惑星状星雲は天体望遠鏡で観測すると惑星のように見える事から、この名で呼ばれているが、惑星とは全く関係無い。太陽のような恒星は、その晩年に赤色巨星に進化した後に外層のガスを宇宙空間に放出して終末を迎える。中心には白色矮星が残り周囲のガスを照らすため、惑星状星雲として観測される。
今回のハッブル宇宙望遠鏡で観測したのは、はくちょう座にあるNGC7027という生まれたての惑星状星雲。この惑星状星雲への進化は1000年程度の期間で起こり、数十億年という恒星の一生からみるとほんの一瞬の出来事だ。

NGC7027NGC7027

またNGC7027は、地球から3000光年の彼方にあり、ハッブル宇宙望遠鏡で観測できる天体としては最小の部類に入る。
この観測によって、惑星状星雲を構成する様々な層のガスを明瞭に捉える事ができた。画像は惑星広角カメラ2と近赤外マルチスペクトロメータで撮影したものを合成したもの。青い部分は、可視光で観測できる低温のダストを示す。赤からピンク色の領域は水素分子のガスが中心星の紫外線によって発光しているもの。2つの円錐の頂点を合わせた形を斜めから見た形になっている。中心部の白い部分が高温のガスを示している。各層の構造を明瞭に捉えられているので、恒星からガスがどのように放出されたかを詳しく解明する事ができる。この領域の大きさは太陽と地球の距離の14000倍。

なお、詳細は http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/1998/11/ にて公開されている。



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