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ハッブル望遠鏡が木星と土星のオーロラを捕らえた!


NASAは太陽系の惑星、木星と土星の南北両極に現れたオーロラの姿をハッブル宇宙望遠鏡が捉えることに成功したと、発表した。
これらの画像は97年2月にハッブル宇宙望遠鏡に新たに取り付けられたSTIS(二次元分光器)によって撮影されたもの。これにより、従来よりも約10倍の感度で紫外線領域の観測が可能となった。

(木星)
木星の両極に現れたオーロラを撮影したのは97年9月20日のことである。
撮影された画像には、木星の両極に楕円形を形作るオーロラの姿が鮮明に写し出されている。NASAによると、その形状などはスペースシャトルから撮影された地球のオーロラにひじょうに似ているとのことだ。

木星のオーロラは地球と同じように、惑星を取り囲む磁界に高いエネルギーを持った荷電粒子が引き込まれ、上層大気中の分子と衝突することによって発光しているものと考えられる。しかし、地球の場合、オーロラの原因となる荷電粒子が太陽風によってもたらされたものであるのに対して、木星の場合は第1衛星イオの火山活動によって放出された荷電粒子であると考えられる。

NASAは木星のオーロラの生成過程をより詳しく分析するため、現在木星系軌道で観測中のガリレオ探査機の画像などと見比べながら今後も研究していく方針である。

(土星)
土星のオーロラ画像は、97年10月に撮影されたものである。
画像には南北両極に土星の表面よりさらに高いところで現れたオーロラの姿が捉えられている。土星のオーロラは地球と同じように太陽風の影響によって生じると考えられているが、紫外線領域でしか観測できないため、今まで地球上から見ることはできなかった(地球の大気は紫外線を吸収してしまい、地上からの観測は困難である)。

土星のオーロラは1979年、パイオニア11号によって初めて観測されたが、いまだに謎が多いため、NASAでは今回の観測を契機として今後も土星のオーロラについて詳しく分析していく予定だ。

木星オーロラ画像

土星オーロラ画像


今回発表された木星、土星に現れたオーロラの画像。木星自体はハッブル望遠鏡のWF/PC2(広視野惑星カメラ2)で撮影されたもの。これに、今回紫外線領域で観測された画像をマップして合成像となっている。

なお、今回の発表の詳細は以下のURLに掲載されている。

木星のオーロラ-http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/98/04.html
土星のオーロラ-http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/98/05.html


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