2010年8月

今月のさんぽ先天の川

海水浴、キャンプ、里帰りなど、夏の楽しい思い出は、夏の風景とともにあります。天の川を眺めたことや、お盆の頃にペルセウス座流星群を見たことも、夏の思い出のひとつになるかもしれません。いつまでもいつまでも、天の川が夏の風景の一部でいられるような、そんな自然を日本のどこかに残しておきたいものですね。

最近、天の川を見ましたか?

天の川を見たことがなければ、天の川とは何だろう、と不思議に思うこともないかもしれません。天の川の正体を知らなくても、日々の暮らしに何の影響もないかもしれません。

昔の人が天の川を調べなければ、私たちが銀河系の一角に住んでいるということを知ることはなかったでしょう。天の川こそ、私たちのまわりに見える、私たちを取り囲んでいる世界の姿そのものです。天の川を見ることは、広大な世界を見ることです。私たちが宇宙のどこに住んでいるのか、天の川は教えてくれているのです。

月明かりのないよく晴れた夜、人里離れた大自然の中で見る天の川は、私たちの心を打つ圧倒的な存在です。とくに夏は、ほかの季節に比べて天の川の濃い部分を見やすい時期です。天の川を見に出かけましょう。

天の川

人工の光のないオーストラリアの砂漠で撮影した天の川。
撮影/大川拓也

とうちゃん、なぞなぞを考えたよ、聞いて!

なんだ、言ってみろ。

星空にあるけど、星じゃないもの、なーんだ!

うーん、なんだろう…。うーん。天の川は星の集まりだしなあ…。

(し、しまった…)

天の川、それは銀河系の眺め

天の川は、夜空にぼんやりと見える光の帯です。天の「川」と呼ばれているように、それはとても長いもので、夜空を横切っているように見えています。じつは、夜空を横切ったその先にも天の川は続いていて、地平線の下にまで伸び、さらにぐるっと私たちのまわりを一周しています。天の川は私たちを取り囲んでいるのです。

400年前、ガリレオ・ガリレイは天の川に望遠鏡を向け、そこに数えきれないほどの星があることを発見しました。天の川は星の集まりということがわかったのです。その後、望遠鏡の発展とともに天文学は進み、天の川は、私たちの住んでいる銀河系の、内側からの眺めであることがわかっています。私たちの銀河系のおもな部分は、直径約10万光年、厚さ約5000光年という、気が遠くなるほど巨大な円盤の形をしていて、そこには1000億個以上の星が光っています。太陽は私たちの銀河系の星のひとつで、銀河系の中心からは2万8000光年ほどのところに位置しています。

夜空を仰いだときに肉眼で見える星ぼしは、銀河系の規模からすると、太陽のご近所さんともいえる星たちです。さらに遠いところまで星が存在している円盤の面の方向は、肉眼では星の集まりに見えなくても、ぼんやりとした光の帯として目に感じることができ、私たちはそれを天の川と呼んでいるのです。

私たちの銀河系

私たちは銀河系の一角に住んでいて、そこから夜空を見上げると、星が混み合っている方向は帯状に見え、私たちはそれを天の川と呼んでいる。
CG/大川拓也

星空ナビで天の川がわかる

天の川をひとめぐり

いて座を選択 [星をさがそう]メニューから天の川を見つけよう。まずは「いて座付近」。(下画面)

いて座 矢印をたどると天の川を見つけることができる。(上画面)

「星図」オプション 「星図」オプションで、星座絵や「青空・月明かり」をOFFにしたり「夜空の明るさ」を暗くしたりすると天の川が見えやすくなる。(下画面)

みなみじゅうじ座付近 こんどは「みなみじゅうじ座付近」の天の川を見つけてみよう。(下画面)

みなみじゅうじ座地平線の下にあるみなみじゅうじ座も透かして見ることができる。(上画面)

はくちょう座いて座、南十字からはくちょう座まで、DSをかざしながら一周すると、天の川に取り囲まれていることを実感できる。(上画面)

天の川の中心はどこだ?

[天体事典]で天の川を調べる [天体事典]の「用語集」で天の川のことを調べてみよう。(下画面)

天の川の説明 [天体事典]ではいろんな天体などの基礎知識が一気に読める。(上画面)

「天の川の中心」を星図でさがす 今度は天の川の中心方向を表示。[天体事典]の「目印」から「天の川の中心」を選んで「星図でさがす」をタッチ。(下画面)

「天の川の中心」を星図でさがす 天の川の中心部分は、現代の天文学ではとても重要な研究対象だ。今夜も天の川の謎解きは続いている。(上画面)