【1997年3月13日 NASA プレスリリース N97-17】
NASA等の科学者たちは、探査ロケット、探査機、さらに地上の天文台を駆使
して、接近中のヘール-ボップ彗星(C/1995 O1)を観測する。
既にハッブル宇宙望遠鏡による観測で、ヘール-ボップ彗星の核が直径40km 弱と、ハレー彗星(直径9km)の3〜4倍という史上最大級のものであることが 分かっている。その他にも、以下のような観測の計画がある。
NASAは、3月24日から4月5日の間に4つの探査ロケットを打ち上げる。 探査機は彗星を5分間ほど紫外線で観測した後、地球に戻ってくる。 この観測結果は
http://www.wff.nasa.gov/~web/comet.htmlで公開される。
NASAとESA(ヨーロッパ宇宙機関)が共同で打ち上げたユリシーズも、ヘール -ボップ彗星を観測する。ヘール-ボップ彗星はさまざまな角度からの太陽風に さらされることになるので、どのような変化が起こるのかを調査する。 彗星は今から太陽の赤道面を通過するため、プラズマテイルが激しく変化する ものと期待されている。 同時に、JPL(ジェット推進研究所)とコロラド大学の共同プロジェクトとして、 「ユリシーズ・コメット・ウォッチ」が実行される。その成果は
http://lasp.colorado.edu/ucw/で公開される。この観測は彗星が4月1日に近日点を通過した後も続けられる。
ハッブル宇宙望遠鏡は、1995年9月以来、特に彗星の核を中心に観測してきた。 現在は彗星が太陽に近すぎて、ハッブル宇宙望遠鏡では観測することができない。 最後の観測は1996年10月18日に行なわれたが、次に観測できるのはこの秋になる。 これまでに撮影された画像は、
http://oposite.stsci.edu/pubinfo/PR/95/41.htmlで公開されている。
NASAの極軌道衛星が、紫外線と可視光でヘール-ボップ彗星を観測する予定だ。 撮影された画像は、ゴダード宇宙飛行センターのホームページ、
http://pao.gsfc.nasa.gov/gsfc/spacesci/pictures/spacepic.htmで公開される。
ハワイのマウナ・ケアでは、赤外線によるスペクトル観測が行なわれており、 近日点後も、夏まで続けられる。
NASAはさらに、7月に打ち上げられるスペースシャトル・ディスカバリーにも 紫外線による観測機材を積み込む。探査ロケットは5〜10分しか彗星を観測で きないのが、シャトルは11日間に渡って長期的に彗星を観測する。
JPLでは、4月11日に「彗星の追跡者たち」というイベントを行なう。 このイベントでは、実際に彗星を観測し、また、彗星観測に於けるNASAの役割 についての討論が、シューメーカー-レビー第9彗星の発見者デビッド・レビー、 JPLのドン・ヨーマンス、ヘール-ボップ彗星の発見者アラン・ヘール、トーマス・ ボップの各氏を迎えて行なわれる。
このイベントはガリレオとスターダストと、2つの探査プロジェクトに よって出資されている。ガリレオ探査機は木星系を調査していて、1994年には シューメーカー-レビー第9彗星の木星衝突を観測した。スターダスト探査機は 1999年に打ち上げられ、2004年にウィルド第2彗星のダストを採取して戻ってくる。
ヘール-ボップ彗星の詳しい情報、および世界中のアマチュアによるものを 含む多数の画像が、
http://newproducts.jpl.nasa.gov/comet/で公開されている。
http://galileo.ivv.nasa.gov/comet/