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1690年の天体の木星衝突の痕跡の記録を発見


【1997年 1月 7日 国立天文台 記者発表資料】
日本天文学会の田部一志氏、国立天文台助手の渡部潤一氏らの研究グループは、 フランス・パリ天文台の図書館に保存されていた過去の木星面のスケッチから、 木星に天体が衝突したらしい痕跡が記録されていることを発見したと発表した。

天体望遠鏡による木星面のスケッチは1600年代の初期から始まった。 理論的には、数百年に一度の確率で微小天体が木星に衝突していると考えられている が、1994年にシューメーカー-レヴィ第9彗星が木星に衝突した際には、小望遠鏡でも 黒い衝突痕がはっきりと観測されたことから、最近は過去のスケッチから衝突の痕跡を 見出そうという研究が各所で行なわれていた。 しかし、衝突痕と断定できるような痕跡は発見されていなかった。

氏らは、最も古い観測歴を持つパリ天文台の記録を直接調査した。対象となったのは 1600年代から1700年代までの古い木星のスケッチの記録である。 その結果、1690年12月のフランスの天文学者カッシーニのスケッチに、天体の 衝突と思われる痕跡が記録されていることを発見した。 痕跡は18日間に渡って記録されており、その形状の変化は、1994年のシューメーカー -レヴィ第9彗星の時の衝突痕の変化と極めて良く似ている。 また、ボイジャー探査機による木星大気の観測結果を用いて行なったシミュレーション でも、模様の変化を良く再現できている。 そのため、氏らはこれは天体の衝突による痕跡に違いないと考えている。

この記者発表資料および研究についての詳細は、

http://www.nao.ac.jp/whatsnew/jup/index.html
を参照。


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