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彗星のような小惑星、小惑星のような彗星


8月9日に NEAT (Near-Earth Asteroid Tracking) チームによって 18等で発見さ れた小惑星 1996 PW は、その後の観測により、ほぼ完全な放物線軌道上を動い ていることが分かった。 今までに発見された放物線天体は彗星しかなく、この天体も彗星ではないのかと 思われたが、その後の観測でもコマは捉えられていない。 現在の光度は17〜18等である。 最新の軌道要素によると既に近日点を通過しており、今後暗くなっていく。
【MPEC 1996-P03, MPEC 1996-Q03, IAUC 6452】

一方、7月14日に 18等で発見された P/1996 N2 ( エルスト・ピザロ彗星 ) は、 4′弱ほどの細い尾が観測されているが、その後の観測から計算された軌道要素 は、この天体が完全に小惑星帯の中にあることを示している。 軌道要素から言えば小惑星であって当然と思われるが、尾があることから 彗星であることが分かる。 ただ、1979年7月に19.5等で観測された小惑星 1979 OW7 と同じ天体である ことが示唆されているが、当時の写真では小惑星状であったことになる。 また、この天体は尾は観測されているが、彗星特有のコマがなく、その点からも 変わった天体である。
【IAUC 6456, IAUC 6457】

今までには、発見以来しばらくの間小惑星だと思われていて、(2060) という 小惑星の番号までついた天体が、最近になって、機材の進歩もあってコマが観測 されるようになり、改めて彗星として登録された (2060) = 95P/キロン彗星 の例 などがある。 同様な天体に (4015) = 107P/ウィルソン-ハリントン彗星がある。 ハワイ大学の2.2m反射鏡では、このキロン彗星のコマを写すこともできるが、上記 の小惑星 1996 PW は、これによるイメージ上でも完全に恒星状であった。


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