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巨大ブラックホールを取り巻く巨大ガス円盤


【1998年6月18日 NASA

ハッブル宇宙望遠鏡はNGC7052の中心部の巨大ブラックホールを取り巻く巨大ガス円盤の姿を鮮明に捉えることに成功した。NGC7052はこぎつね座にある銀河で地球から1億9100万光年の距離にある。

NGC7052

左は地上の望遠鏡でのイメージ。
右が今回撮影された巨大ガス円盤。

円盤の直径は3700光年で、質量は太陽の300万倍。手前に暗く見えるのは大量の星間ガスが星の光を遮っているため。円盤の中心はブラックホールに引き寄せられた恒星が密集しているために輝いてみえる。このブラックホールは太陽の3億倍の質量で、NGC7052の全質量の0.05パーセントをしめる。円盤は高速で回転し、中心から186光年のところでは秒速155kmで回転している。この回転速度からブラックホールの正確な質量を導き出すことができる。

NGC7052は、電波放射が強く、核から2本のジェットが正反対に吹き出している活動銀河として知られている。この電波放射やジェットの発生原因が中心にある巨大ブラックホールだ。通常、ジェットはブラックホールを取り巻く円盤の垂直方向に吹き出すのだが、このNGC7052では傾いて吹き出している。このことから天文学者らは、このブラックホールを取り巻くガス円盤は、他の銀河と衝突したときの名残ではないかと考えている。

銀河中心の巨大ブラックホール、銀河どうしの衝突は、ビックバン以降の宇宙の進化を探る上で今日もっともホットなテーマとなっている。

□ニュースリリース(英語)
http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/1998/22/



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