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[訃報] シューメーカー博士が死去


 1994年7月に木星に衝突して消滅したシューメーカー・レビー第9彗星の発見者として知られるユージン・シューメーカー(Eugene Shoemaker)博士が、7月18日に隕石孔調査のために訪れていたオーストラリアで交通事故によって亡くなった。69歳だった。

 シューメーカー博士は、共同研究者であり妻でもあるキャロライン・シューメーカー(Carolyn Shoemaker)やアマチュア天文家のレビーらとともに、歴代トップの32個もの彗星を発見するなど天文ファンには彗星研究者との印象が強いが、博士はもともと地質学者であり、アリゾナ州のバリンジャー隕石孔の調査などで実績をあげた。その後、博士の興味は隕石孔から、その元である地球接近小惑星へと向かい、パロマ天文台の46cmシュミット望遠鏡での写真捜索プログラムを始めることになった。彗星発見はいわばその副産物であり、シューメーカー・レビー第9彗星もその中の一つであった。

 博士はいつか月に立つことを夢見て研究者への道を歩み、アポロ計画での地質学者宇宙飛行士の候補にもなったことがあったが、医学的な条件が合わずその夢は叶わなかった。この時の失望が、地球上のクレーターから宇宙空間の小惑星へ、パロマでの捜索へと向かわせたとインタビューなどに答えている。

 なお、妻のキャロラインもシューメーカー博士とともに交通事故に遭ったが、肋骨を折ったものの致命傷ではないということだ。

●講演会のために来日した時の故ユージン・シューメーカー博士(1994年)

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