○ 皆既月食の日の気圧配置


 

 つぎに、皆既月食の日の気圧配置を見てみたいと思います。実際の天気は、おもに高・低気圧や前線と観測地点の間の位置関係で決まってきます。そのため、皆既月食の日の気圧配置のパターンを見極める必要があるでしょう。

 そこで、皆既月食の日とその翌日、7月16〜17日の気圧配置を過去58年分調べてみました。

 日本付近の気圧配置は、次の6つのパターンに分類されます(yoshino,kai(1974), Inst. of Geoscience, Univ. of Tuskubaより)。西高東低(冬型)、気圧の谷(低気圧)、移動性高気圧、前線(停滞前線)、南高北低(夏型)、台風です。この他に、これらの移行型・中間型とこれらの結合型の分類がありますが、今回は移行・結合型としてまとめました。

皆既月食の日とその翌日の気圧配置

● 皆既月食の日とその翌日の気圧配置の出現率(1941〜99年)
 皆既月食の日は停滞前線が横たわる気圧配置になる確率が圧倒的に高く、これだけで全体の約半分を占める。低気圧通過と移行型・複合型の半分を合わせると、天気の悪い気圧配置になる確率は73%にものぼる。
 気圧配置型の分類法と1941〜70年のデータはyoshino,kai(1974)による。1971〜80年はyoshino,yamakawa(1984)、1981〜99年は筆者の判定による。文献はいずれもInst. of Geoscience, Univ of Tuskubaより。

 

 この結果を見ると、なんといっても停滞前線の気圧配置になる確率が圧倒的に高いところに目が行きます。皆既月食の日とその翌日を平均すると、その確率は48%。2年に1度は停滞前線が日本付近に横たわっていることになります。また、低気圧が通過する気圧配置になる確率も15%と高めです。

 さらに、移行型・複合型に分類された年をくわしく見てみると、台風と停滞前線の複合のパターンであったり、移動性高気圧から低気圧通過のパターンに移行していたりと、かならず低気圧通過か停滞前線が組み合わさったかたちになっています。

 そこで、この時期悪天をもたらす気圧配置を停滞前線と低気圧の通過とし、それに移行型・複合型の半分は悪天をもたらしていると考えれば、皆既月食の日に日本付近が悪天となる気圧配置になる確率は、停滞前線と低気圧の割合に移行型・複合型の半分を足した73%になります。逆に晴天をもたらす気圧配置を移動性高気圧と南高北低の夏型と考えれば、皆既月食の日に晴天となる気圧配置になる確率は、18%となります。

 以上から気圧配置でみても、日本付近では今度の皆既月食の日に晴天となる確率は低いと言わざろうえないでしょう。

 

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