2004年8月12日（木）未明のペルセウス座流星群の活動（1862年に放出されたダスト・トレイルによる）に伴う、月面衝突発光が起きる可能性がありました。

月面衝突発光とは、月面に流星体が衝突して発光する現象で、1999年のしし座流星群のときに初めて確認されました。明るさは、数等級、約0.1秒間の発光として観測されています。

ペルセウス座流星群は、スイフト・タットル彗星（109P/Swift-Tuttle）を母天体とする流星群で、8月中旬（お盆ごろ）に数多く出現する流星群として知られています。ライチネン（Esko Lyytinen）氏の計算によると、2004年8月12日5時50分（日本標準時）に、スイフト・タットル彗星の1回帰前（1862年）に放出され形成されたダスト・トレイルが地球軌道に0.00132AU（18万キロメートル）まで接近しました。しかし、夜明け後の現象のため、1回帰前のダスト・トレイルのよる流星は、眼視で観測できませんでした。

ところで、このダスト・トレイルが、地球に最接近する約3時間前に月にひじょうに接近しました。日本流星研究会の佐藤幹哉さんの計算によると、8月12日3時7分（日本標準時）に0.00039AU（5.9万キロメートル）まで接近しています。ですから、月面上ではこのダスト・トレイルによる流星嵐が起きたと考えられます。そこで、星ナビの協力で、この1回帰前ダスト・トレイルのよる月面発光の観測キャンペーンを行ないました。

参加グループは以下のとおりです。

• 電気通信大学（東京都、D=20cm F4 WATECビデオカメラ2台）
• 長野工業高等専門学校（長野県富士見町、D=16cm F3.3 WATECビデオカメラ）
• 長野工業高等専門学校 天文部（長野県信濃町黒姫高原、D=20cm F4 WATECビデオカメラ）
• 愛知県立一宮高等学校（長野県小川村天文台、D=60cm F4 WATECビデオカメラ）
• 富山市天文台（富山県富山市、D=100cm WATECビデオカメラ + D=16cm F3.3 WATECビデオカメラ）
• 銀河の森天文台 りくべつ宇宙地球科学館（北海道陸別町、D=115cm ビデオカメラ）

場所によっては、曇りましたが、月面のモニター撮像に成功しました。

詳しい解析はこれからですが、8月15日現在で、一宮高校グループによる発光現象候補として、3時28分27秒の現象があります。しかし、同時観測による確認はできていません。月面衝突発光を確認するには、離れた2地点以上の同時観測が必要です。地球の周りには多くの人工衛星が飛んでいてそれらが一瞬キラリと光ることがよくあります。2地点から観測すれば人工衛星は月面の違った場所に見えるので区別することができます。

そこで、8月12日に月面発光現象のモニターを行なった方は、電気通信大学・情報通信工学科 柳澤正久氏までご連絡ください。

送付先：〒182-8585 東京都調布市調布ヶ丘 1-5-1
電気通信大学・情報通信工学科
柳澤正久 yanagi@ice.uec.ac.jp