【1997年10月23日 国立天文台・天文ニュース】
ドイツ惑星探査研究所(DLR Institute of Planetary Exploration)のハーン(Harn,G) からの連絡によりますと、ウプサラ大学天文台のラゲルクビスト(Lagerkvist,Claes- Ingvar)は、チリのヨーロッパ南天天文台で、ウプサラ-DLRのトロヤ群小惑星調査プロ グラムを実施中に、10月1日、「うお座」に彗星らしい天体を発見したとのことです。 この天体は口径1メートルのシュミット望遠鏡による写真で小惑星のような点像で発見 され、引き続く3夜、口径0.6メートルの反射望遠鏡で得られた7回のCCD像では、西南西 方向に伸びた短い尾がはっきり見えたそうです。明るさはR等級で18.9等という暗い彗 星でした。
この彗星は、その後の各地で観測され、新彗星であることが確認されて、P/1997 T3 の認識符号が与えられました。Pの符号からわかるように、これは20年近くの周期をも つ周期彗星です。近日点距離が4.2天文単位もあるので、地球近くに接近することはな く、特に明るくなることもありません。小惑星電子回報(MPEC 97u06)による軌道要素と 予報位置をつぎに示します。
近日点通過時刻 = 1998 Mar. 18.2449 TT 近日点引数 = 335ĉ.1546 離 心 率 = 0.392179 昇交点黄経 = 63ĉ.9072 (2000.0) 近日点距離 = 4.161297 AU 軌道傾斜角 = 4ĉ.7561 長 半 径 = 6.846257 AU 平均運動 = 0.0550205 周期 = 17.9年 日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離 日心距離 太陽離角 明るさ 1997 時 分 度 分 AU AU 度 等 Oct.19 1 08.36 +2 30.5 3.251 4.236 170.0 19.0 29 1 03.62 +2 10.9 3.282 4.226 159.4 19.1 Nov. 8 0 59.59 +1 57.8 3.340 4.217 148.6 19.3 18 0 56.64 +1 52.8 3.423 4.209 137.9 19.4 28 0 55.00 +1 56.9 3.527 4.202 127.5 19.5 Dec. 8 0 54.81 +2 10.5 3.649 4.195 117.4 19.6 18 0 56.11 +2 33.1 3.782 4.188 107.7 19.8 28 0 58.84 +3 4.3 3.924 4.183 98.4 19.9
参照 IAUC 6754(Oct.7,1997)、 IAUC 6759(Oct.22,1997)、 MPEC 97u08(Oct.22,1997)
1997年10月23日 国立天文台・広報普及室