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HSTがミラの主星と伴星を分離して撮影することに成功 / NASA


【1997年8月6日 NASAプレスリリース 97-26

NASAはハッブル宇宙望遠鏡を使いくじら座のミラ(くじら座ο星)を撮影し、同恒星の主星と伴星がはっきりと分解された画像をとらえることに成功した。

ミラは1596年にドイツ人の天文学者ファブリチウスによって発見された変光星で、「ミラ型変光星」として長周期変光星の代表的な星である。約332日の周期で約2等から約10等の変光を繰り返す。大気層が半径の20パーセント程度も膨張、収縮を繰り返し、これに伴って脈動変光する恒星として知られている。ミラの主星と伴星の距離は、地球ー太陽間の約70倍ほど(0.6秒角)と非常に近いことから、地球上にある望遠鏡を使った主星と伴星の分解は不可能であった。

今回撮影された紫外線画像から、主星から伴星に向かってフックのようにガスが出ている様子が確認された。これは、伴星の重力によって、主星の物質が引き寄せられているため、あるいは、高温な伴星によって主星の大気物質が熱せられた結果ではないかと見られている。さらに、可視光画像から、主星がフットボールのような歪んだ球体をしていることも分かった。これは、ミラの脈動が原因とされている。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮った今回の画像により、ミラのようなほかの近接連星に対する科学的解明も進むことが期待される。 なお、この発表は以下のURLにて公開されている。

http://oposite.stsci.edu/pubinfo/PR/97/26.html


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