夜空に輝く星の中には、その明るさが変わるものがたくさんあります。そうした
星を「変光星」といいます。変光星の中には、ある一定の周期で規則的に明るさを変
えるものや、不規則に明るさを変えるものがあります。
また、周期的に明るさを変えるものの中にも、1〜2日という短い周期で明るさを変え
るものや、数年から数十年という長い周期で明るさを変えるものなど、さまざまな種
類があります。
ミラ型と呼ばれる種類の変光星は、おおよそ数カ月から十数カ月の周期で明るさを
変える長周期変光星です。老齢期を迎え、不安定となった星が収縮し、その大きさの
変化によって明るさが変化する(大きくなると暗くなり、小さくなると明るくなる)
もので、もっとも明るい時ともっとも暗い時の明るさの差は、2.5等から最大11等に
もなります。「ミラ型」という名前は、この種類の変光星の中で最初に発見された、
「ミラ(不思議なものという意味)」という星に由来しています。
「ミラ」は、くじら座の真ん中あたりにある星で、周期332日で明るさが変わります。
一番明るい時には2等星となり、肉眼でもはっきり分かるほどになりますが、一番暗
くなると10等となり、望遠鏡を使ってやっと見えるくらいにまでなってしまいます。
このミラが、現在夕方の空で肉眼でも見えるくらい明るくなっています。
今年のミラは、2月の上旬に一番明るくなると予想されています。昨年秋にはまだ
双眼鏡か望遠鏡がないと見えないくらい暗かったのですが、12月半ばに6.5等になり、
クリスマスの頃に5.5等、元日の頃には4.5等、そして1月10日頃には4.0等と、どんど
ん明るくなって、肉眼でも見えるようになりました。
春から夏にかけて、ミラは太陽に近くなって見えなくなります。その後、また秋に なると見えるようになりますが、その頃には一番暗くなってしまって、肉眼では 見ることができなくなってしまいます。今、くじら座の写真を撮っておいて、秋に 撮った写真と比べてみると、ミラだけがなくなっているのが分かるでしょう。