しし座流星群特集

▼どこ?に行けば流星が見える?
「東の空が開けていて、光害が少なく、自宅から近い所」

 星空の中の、いつどこに流星が流れるかがわかったとして、どこへ行けば流星が見えるのだろう? 観測適地はどこなのか、観測地による流星の見え方の違いなどを考えてみよう。

●都市部から離れた高原や海辺が最適
●都市部での場所選び


●都市部から離れた高原や海辺が最適

 「どこに行けば流星群が見られるんですか?」 しし座流星群で初めて天文に興味を持った人の中には、自分の住んでいる近くで適当な観測地を知らない場合もあるだろう。ここで、全国の観測適地を紹介することはできないので「東の空が開けていて、光害が少なく、自宅から近い所」と答えるしかない。それぞれの地域で、自分で探してほしい。
 ただし、「降るような流星」を求めているのならば、ある程度の遠征を考えておかなければならない。

○空が明るいと見える流星の数が減ってしまう

2等星まで 4等星まで 6等星まで
2等星までしか見えない都市部の星空(明るい流星しか見ることができない) 4等星まで見える郊外や小都市の星空(都市の中心部よりは流星が多く見える) 6等星まで見える理想的な状態の星空(暗い流星まで見えて、数が増える)

都市部では、星の数が光害の影響で減ってしまうように、流星も明るいものしか見えない。逆に6等星まで見えるような空では、暗い流星まで見ることができ、都市部よりずっと多くの流星を見ることができる。
イラスト/加賀谷 穣・星の手帖社

 観測地は、都会よりは郊外、郊外よりは都市部から離れた高原や海辺が最適なのはいうまでもない。
 光害の影響で夜空が明るく照らされ、2等星までしか見えない空では、明るい流星しか見ることができないので、それだけ観測できる流星の数が減ってしまう。流星の数は一般に暗いものほど数が多く、6等星まで見えるような夜空の暗い場所=星の良く見える場所ほど多くの流星を見ることができる。
 その意味では、星雲星団観望や天体写真撮影の観測適地がそのまま流星観測適地といえる。
 なお、山間の林道などで、深夜には車が少ないと思われる場所でも、車道やそのすぐそばで観測するのは危険なので絶対に避けてほしい。また海岸で観測する場合は、潮の満ち引きで思わぬ事態になりかねないので、充分に注意してほしい。


●都市部での場所選び

 あいにく11月18日は木曜日。夜が明けたら、そのまま会社や学校へ出かけるという人も多いことだろう。すると遠出はできないかも知れない。
 18日を休みにして遠征観測を考えているような熱心な天文ファンは別にして、ここでは、自宅の近くで観測地を探す場合の注意点を記していくことにしよう。

○広い場所、または東方向の視界が開けた場所をチェック

 多くの読者は都市部かその近郊に住んでいると思われるので、まずは空の開けた広い場所を探す必要がある。
 理想的には360度の視界があれば良いのだが、とくに注目するのは東から天頂にかけてなので、この方向に高いビルや、木などがない場所を事前に探しておけばいい。

広い川原など 東向きのベランダ
都市部では、広い公園や河川敷、運動場などが観測適地となる。 マンションのベランダや、ビルの屋上から観測するのなら、途中で部屋に入って休むこともできるので、家族で観測する場合などにはいいだろう。

○近くに強い照明がないかをチェック

 次に、近くに強い照明がないかも要チェックだ。とくに東方向に強い照明のない場所をさがそう。
 人間の眼は暗い所へ行くと、眼が暗さに慣れてだんだん暗い星が見えてくるが、強烈な光源が近くにあると眼の感度アップが妨げられてしまうからだ。とくに、注目する東の方角に照明がある場合は、いつまでたっても眼の感度アップが起こらず、それだけ「見える星の数=流星の数」が増えてこない。
 一度、事前に観測場所の下見に行って、東の空の明るさや、じゃまな照明がないかなどをチェックしておこう。

 結局、都市部では、公園や運動場、河川敷もしくはマンションの屋上などが観測場所に適していると考えられる。学校の校庭というのも広くて見晴らしが良く、夜は照明がないので、都市部での観測適地のひとつなのだが、夜間立ち入り禁止の場合が多いのが残念だ。
 なお、深夜のことでもあり、大騒ぎしないことや、立ち入り禁止の場所や危険な場所には近寄らない、帰りの後始末など、マナーや安全性にも充分に気を付けよう。

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