ふたご座流星群を生んだ小惑星、現役の彗星だった

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2013年6月18日 The Astrophysical Journal

12月中旬に明るい流れ星を見せるふたご座流星群の母天体とされる小惑星ファエトン。近年の観測で彗星状の尾が見つかり、現在も彗星として活動中であることがわかった。


小惑星ファエトンの軌道

小惑星ファエトンの軌道。公転周期はおよそ1年半。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」でシミュレーション)

ファエトンの尾の観測画像

2009年(上段)と2012年(下段)の観測画像。白線に沿って画像右上が太陽方向。太陽とほぼ反対側に伸びているのがわかる。この観測時と同じ2009年6月20〜21日と2012年5月2〜3日に増光のピークが見られた。クリックで拡大(提供:D.Jewitt et al.)

毎年同じ時期に集中して流れ星が現われる「流星群」は、彗星が通り道に残していったダスト(塵)の流星物質が地球の大気にぶつかることで発光して見える現象だ。とりわけ12月中旬の「ふたご座流星群」は、例年ほぼ期待どおりの出現を見せてくれることで知られ、年間三大流星群の一つに数えられている。

このふたご座流星群の母天体(塵をばらまいた天体)とされているのは、彗星ではなく小惑星ファエトンだ。ファエトンはかつては彗星として活動していた、つまり塵やガスを噴き出していたと考えられており、その当時の名残りが流星群の流れ星となって出現していると思われてきた。

そのファエトンに彗星活動の兆候が見られたことを、太陽系小天体研究の第一人者であるDavid Jewittさん(米カリフォルニア大学LA校)らが発表した。

2009年と2012年にファエトンが太陽に近づいた際にNASAの太陽観測衛星「ステレオ」のA機搭載カメラを用いて可視光観測を行ったところ、太陽とほぼ反対の方向に伸びる約25万kmの彗星状の尾が見つかったのだ。近日点通過時の熱でダストの粒子が生み出され、太陽の放射圧でたなびいているものとみられる。突然の出現であること、そして尾のようすから、塵は1μm以下の微粒子で、総重量は30tにも満たないと推測される。

変則的に明るくなるファエトンは活動的な天体であることが示唆されてきたが、今回の尾の観測で、まだ“活きている”ことが決定的になった。

今年のふたご座流星群は12月14日から15日にかけての夜が見ごろと予測されている。明るい月が出ていて条件は良くないが、今年も月明かりに負けない明るい流れ星を見せてくれることを期待したい。

〈参照〉

〈関連リンク〉