地球から21光年先のスーパーアース

このエントリーをはてなブックマークに追加
地球からわずか21光年の距離にある系外惑星「HD 219134b」がスーパーアースであることが確認された。岩石惑星として、また恒星の手前を通過するトランジット現象を起こす系外惑星としては最も地球に近いもので、今後の観測からスーパーアースに関する様々な情報が得られると期待されている。

【2015年8月10日 NASA

NASAの赤外線天文衛星「スピッツァー」による観測で、系外惑星「HD 219134b」が岩石惑星であることが確認された。この惑星はカシオペヤ座の方向21光年彼方の6等星の周りを公転する4つの惑星のうちの一つで、中心星からの距離は太陽‐地球間の約25分の1しかない。

HD 219134の位置
HD 219134系はカシオペヤ座にある(提供:NASA/JPL-Caltech/DSS)

HD 219134bはもともとは、カナリア諸島の口径3.5m望遠鏡を使った観測で、惑星の重力による中心星の動きを検出する視線速度法によって発見された天体だ。さらに、この系外惑星は地球から見て中心星の手前を通り過ぎるトランジット現象を起こすこともわかったのだが、トランジットを起こす系外惑星としては最も地球に近く、非常に重要な観測対象となる。

トランジットを起こすHD 219134bのイラスト
トランジットを起こすHD 219134bのイラスト(提供:NASA/JPL-Caltech、以下同)

視線速度法のデータからHD 219134bの質量が地球の4.5倍であることはわかっていたが、スピッツァーでトランジットを観測することで大きさが地球の1.6倍であることもわかり、この惑星が岩石惑星であると確認された。こうした地球より大きな岩石惑星は「スーパーアース」と呼ばれており、HD 219134bは地球から最も近い岩石惑星でもある。

HD 219134bの想像図
HD 219134bの想像図

多くの系外惑星は数百光年先に位置しているが、HD 219134bは事実上のおとなりと言えるほど近いところにある。トランジットを起こしていることから、研究者はHD 219134bをこぞって観測するだろう。もし惑星に大気が存在していれば、その大気を通過してきた恒星の光を調べることで大気の成分を探ることもできる。

「系外惑星探査衛星「ケプラー」の観測から、スーパーアースは普遍的に存在することがわかってきました。とはいえ、スーパーアースについて知っていることは、まだわずかです。詳細に調べることが可能なHD 219134bは、スーパーアースの謎を解く鍵となり得るでしょう」(ベルギー・リエージュ大学 Michael Gillonさん)。

〈参照〉

〈関連リンク〉

〈関連ニュース〉

関連記事