天体画像処理ソフト ステライメージ8

よくある質問と回答(FAQ)

コンポジット方法のオプション「加算」「加算平均」「加算平均(σクリッピング)」の効果の違いは?

質問

「コンポジット」ダイアログや「バッチ:コンポジット」ダイアログで表示されるコンポジット方法の選択肢のうち、「加算」「加算平均」「加算平均(σ)」の効果や用途の違いがわかりません。

コンポジット方法の選択

回答(概要)

N枚の画像を「加算」すると、合成後の明るさは元画像のN倍になります。一方「加算平均」では、合成後も元画像と同じ明るさになります。ステライメージを使う場合、処理時間や画質向上の度合いはどちらも同じです。ただし、「加算」の場合は、露出の異なる画像同士、あるいは後で撮影した画像を追加でコンポジットできる、というメリットがあります。

「加算平均(σクリッピング)」は、衛星の光跡や宇宙線の飛跡などの突発的なノイズの影響を除きたい場合や、ダークフレーム、フラットフレームをコンポジットする場合に使います。ただし、「加算平均(σクリッピング)」は非常に処理が重くなりますので、明らかに突発ノイズがないとわかっていれば普通の加算平均で処理することをおすすめします。

回答(詳細):「加算」と「加算平均」について

◆ 「加算平均」とは

N枚の画像を「加算平均」する場合、処理結果は

元画像の和÷N

となり、画像の明るさは元画像と同程度になります。

画像の滑らかさ(信号雑音比(S/N 比))は、N枚を加算平均すると√N倍に向上します。つまり4枚加算平均すると元画像の2倍、9枚加算平均すると元画像の3倍滑らかな画像になります。

◆ 「加算」とは

N枚の画像を「加算」する場合、処理結果は

元画像の和

となり、画像の明るさは元画像のN倍になります。

画像の滑らかさは、N枚を「加算」するとやはり√N倍に向上します。

◆ 「加算」「加算平均」の違い

上記のように、画像のS/N比の向上の度合いは加算でも加算平均でも同じです。

ただし、加算の場合は画像の明るさが枚数に比例してどんどん大きくなるため、処理ソフトによっては加算結果が「プログラムが扱える最大の明るさ」を超えてしまうことが起こりえます。

例えば、恒星像がピクセル値10000で写っている画像を10枚加算すると、恒星部分の明るさが65535を超えてしまいます。

一般の画像処理ソフトの多くは、画像のピクセル値を16bit(= 65536階調)の値で扱っていますので、それ以上の明るさになると「桁あふれ」となってしまい、正しい合成結果になりません。

これを防ぐのが「加算平均」でのコンポジットです。「加算平均」では画像2枚同士のトーナメント方式で加算平均を繰り返せば、元画像の2倍以上の明るさのデータは出現せず、桁あふれも起こりません。

しかし、ステライメージでは画像のピクセル値を32bit(=42億9496万階調)の値で扱いますので、「加算」を行っても計算途中で桁あふれが生じることはありません。したがってステライメージを使う限りは「加算」でも「加算平均」でもどちらでもよいことになります。

ただし、「加算」の場合「加算平均」に比べて

  • 後から撮影した画像でも追加でコンポジットできる

  • 露出の違う画像でもコンポジットできる

というメリットがあります。

回答(詳細):「加算平均(σクリッピング)」について

◆ 「加算平均(σクリッピング)」とは

「σ(シグマ)クリッピング」とは、バッチコンポジットの際に「はずれ値」(極端に他と異なる値)のピクセルをカットして合成する処理です。

例えば、5枚の画像の値がそれぞれ

505, 493, 510, 2541, 487

だったとします。ほぼ500前後のピクセル値の中で、4枚目の画像だけちょうど人工衛星の光跡が写ってしまい、光跡部分のピクセルに当たったために「2541」という異常に明るい値になっている、とします。

「σクリッピング」では、こうした「はずれ値」である「2541」を捨てて、代わりに残り4つのピクセル値の「中央値」である「499」で置き換えます。そして、置き換えた後の5つの値の平均を求めて、

(505 + 493 + 510 + 499 + 487) / 5 = 498.8

が合成結果になります。本来の元画像(500前後)とほぼ同じ値になり、光跡の影響を取り除いて合成できます。

◆ 「σクリッピング」なしだと…

σクリッピングをしない普通の加算平均であれば、この5個のピクセル値を単純に平均したもの、つまり

(505 + 493 + 510 + 2541 + 487) / 5 = 907.2

が合成結果のピクセル値になります。本来の元画像(500前後)よりもかなり明るい値のため、合成結果にうっすらと光跡が残ってしまいます。これを防ぐのがσクリッピングの役割です。

◆ 「はずれ値」判定基準の設定

「σ(シグマ)クリッピング」で各ピクセル値が「はずれ値」かどうかを判断する基準として、[しきい値:] を指定します。

しきい値の設定

しきい値が1σ:偏差値40以下、または60以上のピクセル値をカット
しきい値が2σ:偏差値30以下、または70以上のピクセル値をカット

しきい値を大きくしていくと、はずれピクセルを捨てる効果が弱くなり、光跡などの影響が残りやすくなっていきます。