大輪の花のようなガム15星雲

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【2014年7月8日 ヨーロッパ南天天文台

およそ3000光年彼方にあるガム15星雲は、若い星々の光が周囲のガスを赤く輝かせる「HII領域」のひとつ。あまり有名ではないものの、複雑な形状や塵の暗黒帯の存在が華やかさを演出する美しい天体だ。


ガム15星雲

チリ・ラシーヤ天文台のMPG/ESO 2.2m望遠鏡で撮影されたガム15星雲。クリックで拡大(提供:ESO)

画像は、ほ座の方向約3000光年彼方にある輝線星雲「ガム15」だ。星雲の中で生まれた星々が、周りのガスの雲を輝かせる「HII領域」のひとつである。

画像中央に明るく見える若い高温の星HD 74804が放射する紫外線が、周囲の水素の電子を奪いとる。電子を失って電離した水素が再び電子を捕獲する際に放つ光(Hα光)が、星雲を赤く輝かせている。

星雲は、内部の星やガスの分布次第でそれぞれに複雑で美しい構造を見せる。このガム15の場合は、塵の暗黒帯により、「三裂星雲」(M20)ならぬ「二裂星雲」とでも言いたくなるような姿を見せていて面白い。

こうしたHII領域では、数百万年の間に数千個もの星が生まれる。星雲は星によって輝き、形を変え、やがて大質量星が最期を迎える超新星爆発などで吹き飛ばされ、あとには幼い星々の集団のみが残る。

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