すばるがとらえた注目の彗星 アイソンとラブジョイ

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【2013年11月12日 すばる望遠鏡CIOC Blog

すばる望遠鏡が、明け方の東の空で光度を増している2つの彗星をとらえた。ラブジョイ彗星(C/2013 R1)は空の明るい場所でも双眼鏡で見えている。ゆるやかに増光中のアイソン彗星も、29日の太陽最接近後の大化けが期待される。


すばる望遠鏡がとらえたアイソン彗星

すばる望遠鏡がとらえたアイソン彗星

10月31日にすばる望遠鏡で撮影したアイソン彗星。クリックで拡大(提供:国立天文台、撮影・データ解析:八木雅文(国立天文台))

11月18日、アイソン彗星とスピカが大接近

11月18日明け方にはおとめ座のスピカと大接近。小口径の天体望遠鏡でとらえるチャンスだ。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」でシミュレーション星図作成)

米ハワイにあるすばる望遠鏡が、明け方の東の空に現われているアイソン彗星(C/2012 S1)をとらえた。10月には中間赤外線で撮影を行ったが、今回は可視光線での観測で、わずか5秒間の露出でコマや尾を鮮明にとらえている。

発見当初の予測に比べて増光ペースが遅く天文ファンをやきもきさせているアイソンは、現在おとめ座の方向で8等級で見えている。18日には1等星スピカと大接近するので、小口径の天体望遠鏡でとらえるチャンスだ。好条件なら5cm双眼鏡でも見えるかもしれない。

一方で、29日の太陽最接近に向けて別の意味でも目が離せない段階に入っている。11月中旬には太陽からの距離が0.8auを切り金星軌道より内側に入り込むが、リニア彗星(C/1999 S4)やエレーニン彗星(C/2010 X1)が突如崩壊したのもこの時期だった。多くの目が向けられている中で消滅するようなことがあれば科学的には大きな成果が期待されるものの、やはり我々天文ファンとしては肉眼で見える明るさになるまで耐えしのいでほしいところだ。

最大の難関であり、文字通りの“ターニングポイント”となるのが、11月29日の太陽最接近。ガスや塵の放出ペースと核のサイズ、そして秒速400kmという速さで通りすぎることを考えると、太陽の熱や重力にも負けず生き残れると予測されており(参照:CIOC Blog)、その場合には最接近後に肉眼で見事な彗星の姿が見られる可能性が高い。

太陽系の果てから続く長旅の大きな区切りはもうすぐそこだ。これが折り返し点か、それとも終着点となるのか、楽しみに見届けよう。

ラブジョイ彗星(C/2013 R1)も撮影

すばる望遠鏡がとらえたラブジョイ彗星(C/2013 R1)

10月31日にすばる望遠鏡で撮影したラブジョイ彗星(C/2013 R1)の核周辺。クリックで拡大(提供:国立天文台、撮影・データ解析:八木雅文(国立天文台))

11月未明の北東の空とラブジョイ彗星の動き

11月未明の北東の空とラブジョイ彗星の動き。星図は11月中旬午前2時ごろ。ラブジョイ彗星の動きは恒星を背景とした位置を示しており、星座の年周運動にともない実際の空では方位や高度が少し異なる位置に見える。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」でシミュレーション星図作成)

すばる望遠鏡は、深夜〜明け方の空で見えているラブジョイ彗星(C/2013 R1)も撮影しており、その核周辺を詳細に写し出している。特に核周辺に見られるX字状の複雑な構造が特徴的で、これは核から噴き出すダスト(塵)のジェットであると考えられている。

この彗星は、2011年の大彗星(C/2011 W3)と同じテリー・ラブジョイさんが今年9月に発見した天体で、現時点で5cm以下の双眼鏡でも見える6等級まで明るくなっている。12月23日の近日点通過でもあまり太陽に近づかないので爆発的な増光はしないと予測されるが、今のところ少々期待外れ気味なアイソンの“穴埋め”以上の輝きを見せている。

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