一連の天体画像不正疑惑の調査状況についての続報

【2009年10月16日 アストロアーツ「星ナビ」編集部】2010年10月20日更新

当社(株)アストロアーツが編集・発行している月刊天文雑誌「星ナビ」の2009年10月号の表紙画像が、チェコ共和国のMiloslav Druckmüller氏がWebページで公開している画像を無断で複製加工したものであったことに端を発した、一連の天体画像不正疑惑の真相を明らかにするため、画像提供者である沖縄県の宮城隆史氏に、10月16日、アストロアーツ事務所にて事情を聞きました。宮城氏の証言によると、不正行為を始めたのは、2006年11月9日の「水星の日面通過」からで、以降、月食や日食、話題になった彗星などにおいて、繰り返し天体画像の盗用や不正な加工を行ったとのことです。


10月9日発表(10月13日更新)のアストロアーツWebニュース「一連の天体画像不正疑惑の調査状況について」では、当社の各種コンテンツの中に、盗用が強く疑われる画像が、新たに少なくとも9枚のべ12件(1件は削除済)あることがわかったとしてリストを掲載しました。その後の調査でも疑わしい画像が増えていきましたが、盗用元が判明しないなど不正行為があったという確証を得られないままの画像もありました。

ところが、今回の聞き取り調査にて、2007年以降に発表されたほとんどの画像において、盗用や不正な加工が行われていたことがわかりました。ただし、ポジ原版やRAWデータの提出、およびパスポートの出入国記録の提示などから、「スペイン金環日食(2005年10月3日)」、「南米ギアナ金環日食(2006年9月22日)」など、宮城氏自身が撮影したものだとしても大きな矛盾を生じない画像も存在しています。

2007年1月に「21世紀の大彗星」として大きな話題となったマックノート彗星(C/2006 P1)をオーストラリアで撮影したとしていた一連の画像に関しては、そもそもオーストラリアに出かけてさえいなかったこともはっきりしました。なお、同彗星の盗用元画像には、オーストラリアのサイディング・スプリング天文台のロバート・マックノート氏(=同彗星の発見者)が撮影したものや、同じくオーストラリア在住のテリー・ラブジョイ氏(=2個のラブジョイ彗星の発見者)が撮影したものが含まれていることがわかっていましたが、宮城氏によるとこの2枚も含め「盗用元は、どれもはっきり覚えていない」とのことです。

「星ナビ」編集部では、これまでの調査結果と宮城氏の証言などから、一連の不正画像のリストを作成し、可能な限り盗用元画像の著作者に連絡を取るとともに、法的措置を含め今後の対応を検討していきます。また、これほど大量の不正な画像を「星ナビ」や「星空年鑑」などに掲載してしまったことを反省し、読者の皆さん、および関係者の皆さんに深くお詫びいたします。

文責:星ナビ編集人 川口雅也

2010年10月20日更新分:この問題の経過については、以下の関連ニュースもあわせてご覧ください。

<関連リンク>

<関連ニュース>