イギリスのチームによる昨年の系外惑星直接検出の発表は誤り

【2000年8月18日 BBC News (2000/8/16)

イギリス・スコットランドのSt Andrews Universityのチームは昨年12月、地上望遠鏡により太陽系外惑星の直接検出に初めて成功したと発表し、議論を呼んだが、同チームは今年8月16日、それが誤りだったと発表した。

同チームは昨年12月、恒星「うしかい座τ」を周回する惑星からの光を直接検出することに成功したと発表した。間接的な惑星検出手法により、この恒星の周りには木星クラスの惑星が周回していることが知られていた。

しかし、今年8月16日、チームの一員であるAndrew Collier-Cameron博士は、国際天文学連合(IAU)の総会において、その後の観測により再び惑星を検出することに失敗したと発表した。同博士は、当時惑星だと思ったものの正体は、じつは画像に紛れ込んだノイズなのではないかという見解も述べた。

結局、系外惑星の直接検出には未だ誰も成功していない。

ハッブル宇宙望遠鏡であれば、太陽系から近い恒星をめぐる最大クラスの惑星を検出することは、理論上は可能である。しかし、主星の恒星からの強烈な光が、惑星からの淡い光をかき消してしまうため、実際に検出することはひじょうに難しい。アメリカ・スチュワード天文台のNeville Woolf博士によると、系外惑星の検出のためには、現在最高性能の望遠鏡より1万倍は高性能な望遠鏡が必要という。

ひとつの解決策は、中間赤外域の波長で観測することである。この波長であれば、惑星は可視光域よりも1,000倍明るく見える。しかし、現在の中間赤外域用の望遠鏡では、解像力が不充分だ。

Woolf博士は、太陽系から近い恒星の周りのチリの渦を検出するための手法を研究中だ。彼は、来年にも系外惑星を直接検出することをめざしている。