【1998年6月25日 NASA】
海王星最大の衛星トリトンが温暖化している。1989年にボイジャーが最接近したときに比べて平均気温が2度も上昇していることが判明したからだ。とはいっても現在の温度は絶対温度で39度。摂氏ならばマイナス234度だ。トリトンの温暖化は、南半球が夏を迎え南極にある固体窒素が気化して、大気の密度が上昇したことが原因と考えられている。昨年の末にハッブル宇宙望遠鏡によるトリトンの掩蔽を観測したところこの予想を裏づける大気圧の上昇が観測されている。
このように9年の間に大気の平均気温が2度も上昇するということは地球ならば大異変である。大気の組成や圧力など地球とは大きく異なるトリトンではあるが、地球温暖化に関連する問題を解決する上で、大きな手がかりになるだろうと科学者達は期待している。
なお、海王星の公転周期は約165年。トリトンの南半球は約80年におよぶ長い夏を過ごすことになる。
□ニュース・リリース(英文)
http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/1998/23/index.html