1996B2 百武彗星観測日記

1996年3月から4月にかけて大彗星となり、
私たちを楽しませてくれた百武彗星を追跡した記録です。



★1996年4月20日

 
 4月20日は、百武彗星を見る最後のチャンス。今度こそ、きれいな富士山と彗星をと考えていましたが、 大陸の高気圧がなかなか張り出してくれず、気をもんでいたところ、正午の神奈川県地方の天気予報では 夕方までに何とか回復するとのことで、思いきって出かけることにしました。
 ところが、東名高速を進んで行くうちに大粒の雨が降ってきました、しかも箱根山は完全に雲の中、 富士山も全く見えません。御殿場で降り、東富士有料道路で河口湖へ、さらに河口湖大橋を渡り、御坂峠 を越え、甲府盆地へ…ここも曇っていましたが、北西方向にわずかに陽が射しています。よし!清里だと ばかりに一宮御坂ICから中央高速に乗り、須玉へ向かいました。
 野辺山へ着いたとき、西空は晴れ渡り、月令2の月と金星、それに水星が西の空に美しく輝いていました。双眼鏡を取り出して見ると、百武彗星もすぐに見つかりました。八ヶ岳にかかる雲のほんの少し上に、明るい ダストテイルが見えています。慌てて、器材をセッティングし、撮影しました。
 とりあえず、これで百武彗星とはさようならですね。さすがに南半球まで追いかける余裕はありません。 春の夜に大いなるロマンと、輝きをありがとう!

C/1996 B2 Hyakutake(April 20 UT)

[62K/JPEG]
PENTAX LX 24mm F2 Fuji Super G800 film
30 sec Exposed
Nobeyama / Nagano / Japan



C/1996 B2 Hyakutake(April 20 UT)

[93K/JPEG]
Closeup of above Image

Nobeyama / Nagano / Japan



C/1996 B2 Hyakutake(April 20 UT)

[102K/JPEG]
PENTAX Z-1 180mm F2.5 Fuji PROVIA film
60 sec Exposed
Nobeyama / Nagano / Japan





★1996年4月13日

 4月13日に箱根大涌谷で撮影したカラー写真です。再び、富士を入れた構図で狙いましたが、 残念ながらまたも雲にさえぎられてしまいました。とりあえず何とか、かろうじて 富士と百武彗星が写っています。

C/1996 B2 Hyakutake(April 13 UT)

[60K/JPEG]
PENTAX 6X7 105mm F2.4 Konika GX3200 film
15 sec Exposed
Owakudani / Hakone / Kanagawa / Japan





★1996年4月6日

 4月6日に箱根大涌谷で撮影したカラー写真です。薄明終了前の駒に、かろうじて 富士と百武彗星が写っていました。

C/1996 B2 Hyakutake(April 6 UT)

[57K/JPEG]
PENTAX LX 55mm F1.2 Fuji Super G800 film
5 sec Exposed
Owakudani / Hakone / Kanagawa / Japan





★1996年4月6日

 さて、地球最接近を終えた後、天候が再び思わしくなく、なかなか捕えられなく なった百武彗星ですが、まだまだ肉眼で見える明るさで、夕方の北西の空に見えて います。
 4月6日は久々の晴れ間があったので、それ行け!っとばかりに、箱根大涌谷まで 家族で出かけました。富士山と金星、それに百武彗星を入れた写真が欲しかったの ですが、日没まで美しく見えていた富士は、あっという間に雲に隠れてしまいました。 2.5等ほどに暗くなった百武彗星は3度程の尾が見えていました。
 以下に、フォーミュラガス増感したTP245で撮影したモノクロ写真を3点 掲げておきます。固定撮影です。

C/1996 B2 Hyakutake(April 6 UT)

[41K/JPEG]
PENTAX LX 55mm F1.2 Gas-Hypered TP2415 film
1 minutes Exposed
Owakudani / Hakone / Kanagawa / Japan



C/1996 B2 Hyakutake(April 6 UT)

[38K/JPEG]
PENTAX LX 85mm F1.4 Gas-Hypered TP2415 film
about 45 seconds Exposed
Owakudani / Hakone / Kanagawa / Japan



C/1996 B2 Hyakutake(April 6 UT)

[48K/JPEG]
PENTAX LX 85mm F1.4 Gas-Hypered TP2415 film
about 60 seconds Exposed
Owakudani / Hakone / Kanagawa / Japan


★1996年4月1日
3月22日、25日、26日の百武彗星! 

 ポジフィルムによる百武彗星の写真が上がってきました。フジフィルムのPROVIA400で撮影した百武彗星です。PROVIA400って結構青が強い フィルムですね。バックも真っ青になってます。
 ほとんど赤に感度がないみたいな写真になっちゃいました。22日のアルクトゥルス を見てもほとんど白ですもんね。
 でも、この色合い、個人的には嫌いじゃありません。
 26日のネガで撮影したものも再処理してみましたので掲載しておきます。

C/1996 B2 Hyakutake(March 22 UT)

[44K/JPEG]
PENTAX LX 85mm F1.4(F2.0) Fuji PROVIA 400 film
about 5minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


C/1996 B2 Hyakutake(March 25 UT)

[34K/JPEG]
PENTAX LX 300mm F2.8 Fuji PROVIA 400 film
about 10minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


C/1996 B2 Hyakutake(March 26 UT)

[34K/JPEG]
PENTAX Z1 180mm F2.5(F3.5) Fuji G800 film
about 7minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


★1996年3月26-27日

 この日は、高層雲があって悩まされましたが、そこそこの天候に恵まれ、北極星を回るように移動する姿を楽しむことができました。ただ、写真撮影時には レンズへの露付きに悩まされました。
 また、館山の町の光が明るく、かなりカブってしまったのが残念でした。

C/1996 B2 Hyakutake(March 26 UT)

[27K/JPEG]
PENTAX Z-1 300mm F2.8 Fuji G-800 film
about 15minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


C/1996 B2 Hyakutake(March 26 UT)

[27K/JPEG]
PENTAX LX 180mm F2.5 Fuji G-800 film
about 10minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


C/1996 B2 Hyakutake(March 26 UT)

[46K/JPEG]
PENTAX 67 105mm F2.4 Fuji PROVIA1600 film
about 15minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


★1996年3月25-26日

 いよいよ地球接近の日です。朝から天候が思わしくなく、夕方になっても晴れる 気配すらありませんでしたが、とりあえず観測場所に移動、赤道儀を組み立て、 じっと待つこと数時間、雲の切れ間から見えた北極星で極軸を合わせ、彗星の移動 に合わせてコントローラを設定し、再び待つこと数時間、奇蹟的に雲が切れた約30 分の間に数コマ捉えることができました。
 この日も肉眼では長い尾が見えていましたが、露出がかけられなかったので写真 では今一つはっきりしません。
 雲が切れた瞬間、わが家の息子たちが大きな歓声を上げたほど素晴しい姿でした。

C/1996 B2 Hyakutake(March 25 UT)

[42K/JPEG]
PENTAX Z-1 300mm F2.8 Fuji G-800 film
about 3minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


C/1996 B2 Hyakutake(March 25 UT)

[50K/JPEG]
PENTAX LX 50mm F1.2(F2.0) Fuji G-800 film
about 7minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


★1996年3月22-23日

 百武彗星の地球接近を観測するために千葉県南房総白浜町へ行ってきました。
 とりあえず、3月22日の夜の彗星画像を以下にアップしておきます。  この日はアルクトゥルスの近くできらきらと青白く輝く姿が印象的でした。何と 言っても長い尾が肉眼ではっきりと見え、その美しさには絶句!
 プリントが濃いのでうまくスキャンできていませんが、雰囲気は分かります。

C/1996 B2 Hyakutake(March 22 UT)

[38K/JPEG]
PENTAX Z-1 85mm F1.4 Fuji G-800 film
about 5minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


C/1996 B2 Hyakutake(March 22 UT)

[48K/JPEG]
PENTAX LX 300mm F2.8(F3.5) Fuji G-800 film
about 3minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


C/1996 B2 Hyakutake(March 22 UT)

[44K/JPEG]
PENTAX LX 300mm F2.8(F3.5) Fuji G-800 film
about 5minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


C/1996 B2 Hyakutake(March 22 UT)

[30K/JPEG]
PENTAX Z-1 180mm F2.5 Fuji G-800 film
about 5minutes Exposed closeup
Shirahama / Chiba / Japan


C/1996 B2 Hyakutake(March 22 UT)

[11K/JPEG]
PENTAX 67 105mm F2.4 Fuji PROVIA 1600 film
about 1minutes Exposed
Shirahama / Chiba / Japan


★1996年3月21日

 まったく春の星空観望はいつも天気に悩まされます。昨夜も雲が多く、もう駄目 かと半ば諦めかけていたのですが、夜半過ぎから雲が切れ、明るくなった百武彗星 東京の空でも肉眼で良く見えました。
 皆さんはもう、ご覧になりましたか?
 以下に6枚の画像を掲載しておきます。

C/1996 B2 Hyakutake (640mm)

[21K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (640mm)

[54K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (480mm)

[18K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (480mm)

[58K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (300mm)

[23K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (300mm)

[42K/JPEG]


★1996年3月18日

 一雨ごとに暖かくなる春特有の天気は、この時期の彗星観測には大敵ですね。
今朝も条件は最悪でしたが、ついに東京でも肉眼で見えるようになりましたね。
以下に画像を掲載しておきます。

C/1996 B2 Hyakutake (640mm)

[46K/JPEG]


★1996年3月16日

 相変わらずの曇天模様に諦めかけていた夜半過ぎ、ようやく雲が切れ美しい彗星の姿が 見えました。
以下に3枚の画像とムービーを掲載しておきます。

C/1996 B2 Hyakutake (640mm)

[42K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (640mm)

[20K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (640mm)

[16K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (QTmovie)

[191K/QT]


C/1996 B2 Hyakutake (AVImovie)

[191K/AVI]


★1996年3月14日

 このところすっきりとした晴れの日がなく、何か霞がかったような東京の空 ですが。百武彗星は着実に明るくなっています。
 今朝は、300ミリ望遠レンズと100mm屈折の直焦点(640mm)、それに レデューサー(480mm)を付けたものとを撮像しました。
以下に5枚の画像を掲載しておきます。

C/1996 B2 Hyakutake (300mm)

[27K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (480mm)

[32K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (480mm)

[32K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (640mm)

[32K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake (640mm)

[32K/JPEG]


★1996年3月10日

 今朝の彗星はすぐ近くに明るい月があって、東京の空では十分な観測が できませんでした。
 月明りだけでなく、淡い雲が広がっているためでしょう。
 一応、午前1時5分に撮像したものと、午前3時10分に撮像したものを 掲げておきます。
 約2時間に彗星が移動している様子が分かるでしょう。
 また、3時20分に撮像したものを疑似カラーにしたものも併せて、掲載 しておきます。

C/1996 B2 Hyakutake

[27K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake

[32K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake

[32K/JPEG]


★1996年3月9日

 今日は雲が多く、雲の合間を縫っての撮像となりました。
 しかも、雲の切れ間といっても高層に淡い雲が広がっているようで、非常に淡く 満足な観測はできませんでした。
 得られた画像もそのままでは見れたものではありませんでしたので、画像処理 しています。
 それでも、明るい核部分はしっかり写ってますので…。

C/1996 B2 Hyakutake

[28K/JPEG]


★1996年3月7日

 今朝は透明度があまり良くなく、しかも大きな月が近くにあって、 よほど注意をしていないと見逃してしまう。そんな感じのイメージ でしたが、相変わらず中央集光は強く、一見すると輪郭のぼけた恒星 のように見えました(低倍率で)。
 Lynxxの不良原因がコネクタの断線であることが分かって、ホッと一息、 早速修理し観測に間に合わせました。
 それにしても、ずいぶんと期待が膨らんできますね

C/1996 B2 Hyakutake

[24K/JPEG]


★1996年3月6日

 3月26日の地球接近に向けて、百武彗星がどんどん明るくなっています。
 3月6日朝の百武彗星は約5.2等級で、東京原宿の自宅屋上のドームからも 10センチ屈折で楽に確認できるほどになりました。
 核とそれを取り巻くコマの部分はかなり集光が強く、力強さを感じさせてく れます。接近時に大きな期待ができそうです。
 常用しているLynxxが何故か撮像できず、慌てて引っぱり出したST-4で撮像 した画像を2点、以下に掲載しておきます。

C/1996 B2 Hyakutake

[20K/JPEG]


C/1996 B2 Hyakutake

[19K/JPEG]


★1996年2月11日 
C/1995 Y1,C/1996 B1,C/1996 B2

 明るい彗星が発見されるとじっとしていられない性質なもので…2月11日に千葉県 白浜町(南房白浜)まで撮影に行ってきました。
 当日は快晴に恵まれ、夜半前は某雑誌の撮影などで慌ただしかったのですが、夜半 過ぎから明け方まで、じっくりと彗星の姿を堪能してきました。
 もっとも、月明りの邪魔があって、満足できるほどの写真は得られませんでしたが、 以下に掲載しておきます。

C/1996 B1 Szczepanski

[72K/JPEG]


 まずは、シュチェパンスキー彗星です。この彗星はおおぐま座の北斗七星の柄の近く を移動しているため、ほぼ一晩中観測でき、光度も8等級と今がみごろです。
 10×70の双眼鏡でもすぐに位置がわかります。口径25センチのシュミカセでは、 大きく広がるコマとキラリと輝く核がなかなか印象的でした。

C/1995 y1 Hyakutake

[72K/JPEG]


 さて、久々の日本人による新彗星となった百武彗星ですが、へび座を北上中です。
こちらも10×70の双眼鏡で簡単に見つかりました。光度もほとんどシュチェパンスキー 彗星と同じくらいの感じですが、核の広がりが小さく、その分中央集光が強い印象でした。

C/1996 b2 Hyakutake

[72K/JPEG]


 期待の1996 B2(Hyakutake)ですが、かなり暗く小さい感じで、10×70の双眼鏡では 「これかな〜?」といった感じで、あまり見栄えが良くありません。
 光度的には9等級から10等級の間くらいといったところでしょうか。これが、本当に 1等級になるの?というのが正直な感想です。
 まあ、まだ距離も遠いし、3月末には地球に0.10天文単位まで接近するので、期待は 十分に持てますから、とりあえず成り行きを見守ることにしましょう。

 というわけで、話題の彗星を一気にはしごしてきましたが、最後に来年期待のヘール・ ボップ彗星に望遠鏡を向けてみましたが、どうにか、それらしきものを捕えた時には、東の 空が白々と明け始めてしまいました。ヘール・ボップ彗星に間違いないと思われますが、約 9等級程度でした。



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