次期火星探査車の着陸地が決定 2011年末に打ち上げへ

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【2011年7月25日 NASA (1)(2)

今年末に打ち上げ予定のNASAの火星探査車「キュリオシティ」の着陸場所が「ゲール・クレーター」に決定した。2012年8月に着陸し、火星生命の痕跡を探る。


火星で探査を行う「キュリオシティ」の想像図

火星で探査を行う「キュリオシティ」の想像図。ロボットアームで採取した岩石サンプルを解析する。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

上空から撮影したゲール・クレーター

火星周回機「マーズ・オデッセイ」が撮影したゲール・クレーター。マークの箇所が着陸予定地。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/ASU)

NASAが2011年末に打ち上げる火星探査車「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」(MSL、愛称「キュリオシティ」)の着陸地が、火星の赤道付近に位置する「ゲール・クレーター」(Gale Crater)に決定した。探査の安全性や科学的な重要性を考慮し、30以上の候補地から数年かけて絞り込んだ結果だ。

オーストラリアの天文学者Walter F. Gale(1865-1945)にちなんで名付けられたこのクレーターは直径154kmの大きさで、変化に富んだ地形が重要な発見をもたらす可能性を秘めていることがポイントだという。水が流れこんでくるような低地にあり、水が運んだ堆積物によると思われる扇状地や、水中で形成される粘土や硫酸塩が含まれる層が存在する。

「キュリオシティ」ミッションは、「フェニックス」や「スピリット」などが行ってきた従来の火星探査のような「水探し」にとどまらない。生命のもととなる有機化合物や、これらの有機化合物を酸化から防ぎ長期にわたって温存する鉱物を検出することが可能な観測装置を備えている。

だがNASA火星探査計画主任科学者のMichael Meyer氏は、「有機化合物は『発見できたらもうけもの』」と述べている。ゲール・クレーターの多様な地形から火星の環境がどのように変化してきたかを知り、過去において生命の存在が可能であったかどうかを探ることが重要なのだという。

従来の探査車の2倍のサイズと数倍以上の重量の「キュリオシティ」は現在組み立て中で、最終試験が行われているところだ。打ち上げは11月25日から12月18日の間に米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から行われる予定となっている。


「オポチュニティ」による最新画像

「オポチュニティ」が7月17日に撮影した最新画像。「エンデバー・クレーター」まであと一息だ。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

火星では、探査車「オポチュニティ」がまだ順調に活躍中だ。2004年に火星に着陸してから7年目となり、総走行距離は32kmを超えている。

3年ごしの長期的な目的地である「エンデバー・クレーター」にあと1.3kmのところまで迫っており、最新の画像ではその「エンデバー・クレーター」の縁がわずかにとらえられている。

「オポチュニティ」とほぼ同時期に着陸した兄弟機「スピリット」は通信途絶からの復活を断念し、今年5月に運用終了している。

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