3つの銀河のほこり多く美しい素顔

【2003年12月25日 ESO Press Photos

ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(Very Large Telescope)が、3つの銀河の美しい姿を捉えた。強い遠赤外線と電波を発することで知られるNGC 613、NGC 1792、M66(NGC 3627)は、星形成活動がまさに進行中の銀河だ。どの画像にも、激しい星形成活動を示す大量のちりや若い星々の存在が捉えられている。

(NGC 613の画像) (NGC 1792の画像) (M66(NGC 3627)の画像)

NGC 613、NGC 1792、M66(NGC 3627)(提供:ESO)

渦巻き銀河が発見されてからまだ間もない頃には、一体その銀河がどこに位置するかすらよく知られていなかったが、1924年、エドウィン・ハッブルによって、我々の銀河系の外にあるという証拠が示された。我々の銀河(天の川銀河系)は、この宇宙にある無数の銀河の中の1つでしかないということは、現在では周知の事実である。その形は、渦巻きを持つもの、楕円、不規則などさまざまである。中でも、今回捉えられた3つの銀河のように渦巻きのものは、特に美しい姿を我々に見せてくれる。

NGC 613(1枚目)は、南天のちょうこくしつ座にある棒渦巻き銀河である。他の棒渦巻き銀河と違い、まるで生物の触手のような腕をいくつも伸ばしている。棒渦巻きの棒の部分に沿って細長く延びる暗い部分は、星を生み出すちりが集まっているところである。電波観測によれば、この銀河の中心には大質量のブラックホールがあるようだ。

NGC 1792(2枚目)は、南天のはと座にある、いわゆるスターバースト渦巻き銀河だ。ちりがあちこちに存在するため、渦巻きだけでなく複雑な姿を見せている。銀河に存在する大量の中性水素ガスが、爆発的な星形成の燃料となっている。また、若い星によってちりが熱せられ遠赤外線を放射しているが、この遠赤外線による輝きがNGC 1792の特徴である。

M66(NGC 3627、3枚目)は、しし座に位置する美しい渦巻銀河で、中心には発達したバルジをもつ。渦巻きの部分には大規模なちりの溝が暗く延びているようすがわかる。ディスク全体のあちこちに青白く見えているのは、生まれたばかりの星々からの放射によって電離している比較的温かい水素ガスである。この水素ガスの部分や銀河の中心部では、とても活発に星形成活動が行われているようだ。また、非対称な形をしているのは、近くにある銀河M65やNGC 3628の重力の影響と考えられている。

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