超新星爆発によってできた鉛筆星雲

【2003年6月10日 HubbleSite - NewsCenter

1万年以上前に私たちの銀河系内で起きた超新星爆発によって作られた、細長い形の天体の画像が公開された。

(NGC2736の写真)

鉛筆星雲NGC2736(提供:NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)、謝辞:W. Blair (JHU) and D. Malin (David Malin Images))

ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたこの天体は、NGC2736というカタログ番号が付けられているが、その形から「鉛筆星雲」という名前がある。南天の「ほ座」にある天体で、太陽系から約815光年離れている。

鉛筆星雲は、ほ座に大きく広がっている超新星残骸の一部分だと考えられている。超新星爆発の衝撃波がガスの濃いところと衝突し、光って見えているというわけだ。写真中には、大きなフィラメント状の構造のほか、小さくて明るいガスの塊、希薄なガスの小さな集まりなども見える。

写真中、右から左へと移動してきた衝撃波により、ガスは数百万度まで熱せられる。その後冷えていき、可視光の波長で光って見えるようになったのだ。写真の色を調べることで、どのように冷却が進んでいったのかがわかる。青い領域はまだ高温で、電離した酸素原子が目立って見える。赤い部分は水素原子の部分で、温度が低い。

超新星残骸の中心にはパルサーが残っており、パルサーの回転が減速するようすを観測すると超新星爆発が起こった時期を推定することができる。結果、爆発は約11,000年前と見積もられた。記録には残されていないが、超新星は金星の250倍も明るく輝き、昼でも見られたはずだ。爆発直後には時速3500万kmという猛烈な速さで広がっていったが、現在は時速60万kmほどまで減速している。

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