2 月 17 日未明の小惑星クレウサによる恒星食
の改良予報と、19日の恒星食の予報

【2002 年 2 月 8 日 アストロアーツ】2月15日更新

2 月 17 日(日)05 時 29 分ごろ(日本時)に小惑星クレウサ=(488)Kreusa 11.5 等による恒星食が起こる。この予報をせんだい宇宙館と、佐藤勲さんからいただいたので、それぞれ紹介しよう。なお、せんだい宇宙館からは別の恒星食の予報も届いているので、あわせて紹介しよう。

<せんだい宇宙館による、小惑星クレウサによる恒星食の改良予想>

2月17日明け方の小惑星(488)Kreusa による TYC 1974-00348-1(mag 8.4)の掩蔽の IOTA による改良予報が発表されました。観測の可能な方は是非ご協力頂きたくお願い申し上げます。また、近隣の方々にも呼びかけをお願い申し上げます。

この予報は、ファインダーチャートとともに、以下のページにおきました。http://www2.synapse.ne.jp/uchukan/

■ 2002.02.17   05h29m JST
恒星  :TYC 1974-00348-1
        赤経 10h 13m 08.058s,赤緯 +28° 16' 48.90"(J2000) 8.4等
        こじし座23番星の南西 約1° 14'
小惑星:(488)Kreusa  11.5等
減光  :約 3.2等  継続時間は最長 14.3秒
掩蔽帯:近畿地方,中部地方

たいへん好条件の現象です。高度が約25度と低いものの恒星が明るく観測に支障はありません。掩蔽帯の幅は 238km。誤差(1σ)は掩蔽帯の幅のわずか +/-45% と発表されており、予報の精度は高いと見られます。

<佐藤勲さんによる予報(ONM No. 624, 633)>

ONM No.624でお伝えしたように、2月16日(土)に起こると予報されていた小惑星(488)Kreusa(11.5等)によるTYC197400348(8.40等)の掩蔽は、同日29h29m15sごろ中部・近畿地方で見られます。

隠される恒星の2000年分点の位置は、赤経10h13m08s0588±0".017, 赤緯+28°16'48"895±0".017で、こじし座としし座の境界付近にあります。一方、隠す小惑星の推定直径は150km、視直径は0".125で、改良予報での暦の精度は0".033です。

名目上の掩蔽帯は、静岡県、長野県、岐阜県、福井県、愛知県、滋賀県、三重県、京都府、奈良県、大阪府、兵庫県を通っており、ここを中心に関東、中部、近畿、中国、四国地方が可能性圏内にあります。現象が起これば、最長14秒間にわたって3.2等級の減光が起こります。

予報の中心線は、伊勢湾〜琵琶湖〜若狭湾を通るライン、北限界線は、藤枝〜飯田〜金沢を結んだライン、南限界線は熊野〜神戸〜鳥取を結ぶラインです。予報上のラインに対して実際に現象が見られる確率は以下の通りで、予報の中心線上では、実に91%の確率で現象が起こります。滋賀県の方、大いに期待しましょう。

中心線91%
±0.5r80%
南北限界線50%
±0.5σ31%
±1.0σ16%
±1.5σ7%
±2.0σ2%
±2.5σ0.6%
±3.0σ0.1%

この現象は、現象の起こる時間や予報精度からみて、遠征観測する価値のある現象と考えられます。上の確率を見る限り、±0.5σ以内に遠征しましょう。

予報図のPDFファイルを添付しました。アクロバットリーダーでご覧になれます。

詳しいお問い合わせと観測報告は、佐藤 勲 氏(E-mail ANA65381@nifty.ne.jp)までお願いいたします。

<せんだい宇宙館からの 2 月 19 日未明の小惑星(96)Aegle による恒星食の予報>

2月19日未明の小惑星(96)Aegle による TYC 7299-00684-1(mag10.8)のIOTA による改良予報が発表されました。観測の可能な方は是非ご協力頂きたくお願い申し上げます。また、近隣の方々にも呼びかけをお願い申し上げます。

この予報は、ファインダーチャートとともに、以下のページにおきました。http://www2.synapse.ne.jp/uchukan/

■ 2002.02.19   01h33m JST
恒星  :TYC 7299-00684-1
        赤経 14h 27m 06.637s,赤緯 -32° 16' 26.29"(J2000) 10.8等
        うみへび座52番星の南 約2° 47'
        対象星はケンタウルス座の領域。予報時刻の高度は約10度。
小惑星:(96)Aegle  12.7等
減光  :約 2.1等  継続時間は最長 12.7秒
掩蔽帯:中国地方,四国地方,近畿地方,中部地方

掩蔽帯の幅は 171km。誤差(1σ)は、掩蔽帯の幅のわずか +/-53% です。対象星の高度はわずか10度です。

また、夜半を過ぎているため19日と示しているが、実際には18日深夜の現象であるためこの点にも注意のこと。

改良予報の在所: http://www.oz.net/~stevepr/Asteroids/asteroid.htm

観測に成功されましたら、是非、国立天文台相馬充氏 または、せんだい宇宙館早水勉までご報告をお願いいたします。観測されましたデータは、IOTA,国立天文台,海上保安庁水路部,東亜天文学会 他、広く公開され星食の研究に役立てられます。

必要なデータは、

  1. 観測者氏名
  2. 観測地および観測地の経緯度
  3. 観測開始と観測終了の時刻
  4. 減光が観測されたか? 減光が観測されなくとも重要なデータです。
  5. 減光がおきた場合の時刻:減光開始の時刻および減光終了の時刻
  6. 観測機材
  7. 時刻保持の方法

です。観測は眼視によるものでも重要なデータとなりますが、可能な方は、是非ビデオによる観測をお願いいたします。時刻保持のためには、極力、GPS時計、短波時報(外国)などの正確な時報を用いてください。固定電話による117時報も0.03秒程度の信頼性があります。携帯電話の時報、電波時計、は遅れが大きいので避けてください。

星食観測は多くの観測者により成立するものですので、この種の現象を通じて、天文仲間のフレンドシップの広がることを期待しております。

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