広瀬さん、明るい超新星を発見

【2002 年 2 月 4 日 国立天文台天文ニュース (519)

神奈川県茅ヶ崎市の広瀬洋治(ひろせようじ)さんが、「うお座」の銀河M74に、明るい超新星が現われているのを発見しました。

広瀬さんは、1月29日夜(日本時)に口径25センチのシュミット・カセグレン望遠鏡にCCDを装着して撮影した5枚の画像から、銀河M74(NGC628)の近くに、14.5等の超新星と思われる天体があるのに気付きました。この発見は洲本市の中野主一(なかのしゅいち)氏を通して国際天文学連合に報告され、発見された天体は、超新星としてSN 2002 apの認識符号が与えられました。

この超新星は、M74の中心から北に274秒、南に93秒離れた位置にあると報告され、八ヶ岳南麓天文台で撮影した画像から串田嘉男(くしだよしお)さんが測定した精密位置は、

 赤経 1時36分23.85秒
 赤緯 +15° 45' 13.2" (2000.0)

です。

なお、M74は「うお座」にある渦巻銀河で、光度は約10等、直径10分程度で、渦巻きを正面から見る向きに位置しています。距離は3700万光年ほどで、比較的近傍にある銀河のひとつです。最近たくさん発見される超新星は、遠方の銀河に出現する暗いものが多く、ほとんどが22等から25等の明るさです。それに比べると、14等台で発見された今回の超新星は、母銀河が近いために格段に明るいといえましょう。アメリカの超新星自動検出サーベイKAIT (Katzman Automatic Imaging Telescope)では、広瀬さんの発見の約5時間前に14.4等の明るさでこの超新星が出現していたのを後から確認しています。発見時にこの超新星は極大光度近くにあるか、まだ増光中であったと思われます。スペクトル撮影の結果が報告されていませんから、超新星の型はまだわかりません。

広瀬さんは天体写真家で、超新星発見は今回が初めてです。自動捜索によって超新星の発見数は最近急速に増え、今回の SN 2002 ap は今年に入ってすでに42個目です。日本人による発見も、この1月22日に佐野康男(さのやすお)さんがSN 2002 an を発見したばかりでした(天文ニュース517で佐野さんの発見を23日未明(日本時)とお伝えしましたが、正しくは22日夜でした)。