HSTがとらえた若い3連星系

【2000年3月16日 NASA HST STScI-PRC00-05 (2000/3/16)

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)による若い3連星系(HH111)の画像が公開された。この3連星系は、2つの密接した恒星とやや離れた位置にあるもう1つの恒星から成り、2本の12光年にわたるジェットおよび大きなトーラス(ドーナッツ)状構造を持つ。

3連星系HH111の解説図 3連星系HH111の解説図。2つの密接した恒星から2本のジェットが吹き出しており、その上部にダストによるトーラス状構造、少し離れたところに3つめの恒星がある。3つの恒星はすべて周囲にダスト円盤を伴っている。
HSTによる若い3連星系HH111の画像 HSTによる若い3連星系HH111の画像。広視野/惑星カメラ2(Wide Field/Planetary Camera 2, WFPC2)による可視光画像(上部3/5)、および近赤外線カメラ兼複数天体分光器(Near Infrared Camera and Multi-Object Spectrometer, NICMOS)による赤外線画像(下部2/5)をつなげたもの。2本のジェットのうち1本はHSTによる可視光画像の部分に詳細にとらえられている。3つの恒星およびダスト・トーラスはすべて赤外線画像の部分に見られる。ダスト・トーラスは画像下部に暗い帯として確認できる。密接した2つの恒星はトーラスの下部の赤い2つの部分で、トーラス上部の明るい部分の左端には3つめの恒星が見える。この恒星は2000〜3000年ほど前に重力の効果で他のメンバーからはじき出されたようだ。

なお、可視光画像は1998年11月の撮影、赤外線画像は1998年3月の撮影。

画像提供=NASA, B. Reipurth(CASA, コロラド大学)