
皆既月食は部分食が始まってから終わるまで数時間ほど。半影食を含めるとさらに長時間に及ぶその全過程を、露出を調整しながら一定間隔で記録しようとすると、けっこう忙しく、操作に追われて月を見る余裕がなくなってしまいます。
そこで役立つのが、「ステラショット3」による自動インターバル撮影です。露出設定の調整と時刻管理をソフトに任せることで、撮影しながら月食をゆっくりと観察できます。

まず、パソコンにカメラと赤道儀を接続し、「ステラショット3」を起動します。星図上で月をクリックして自動導入したら、「自動」タブの「インターバル」ボタンをクリックして設定画面を開きましょう。
撮影間隔は30秒から1分が適切です。短すぎるとカメラや赤道儀の動作が追いつかず、長すぎると食の進行を細かく記録できません。後でタイムラプス動画を作成する場合もこの程度の間隔であれば動きが滑らかになります。
ヒント:「0秒ちょうどに開始」にチェックを入れておくと、毎分きっかりの時刻で撮影され、後処理時の管理がしやすくなります。
天体追尾の項目は「追尾」にチェックを入れ、追尾間隔は導入後の安定を優先し、300秒前後のやや長めの値に設定します。恒星時追尾のままでは、月は意外なほど速く画角からずれてしまうので、一定間隔で月を再導入する必要があるためです。
ヒント:固定撮影や月追尾モードの望遠鏡架台を使用している場合は、この機能はOFFでもよいでしょう。
撮影開始は「時刻指定」を選び、部分食開始の20分前に設定します。部分食開始時点で、月はすでにわずかに欠けて見えるので、その変化を確実に捉えるための余裕です。終了時刻も部分食終了から20分後に設定すれば月食の全過程をもれなく記録できます。
観測地への到着が遅れ、今すぐ撮影を始めたい場合は「前ジョブが終わったらすぐ」を選択しましょう。時刻に関係なく撮影を開始しそのまま継続できます。
撮影設定のラベルは「ライト」を選び、露出時間とISO感度を指定します。満月時の適正露出を基準に、たとえばISO400で1/500秒程度からスタートするとよいでしょう。
ヒント:これらの設定は事前にテストし、「プリセット」に登録しておきましょう。もしも本番で意図せず設定を変更してしまっても、プリセットを呼び出すだけで設定値を復元できます。
| 項目 | 推奨値 |
|---|---|
| 撮影間隔 | 30秒 〜 1分 |
| 0秒ちょうどに開始 | ON |
| 天体追尾 | ON(追尾間隔は300秒前後) |
| 撮影開始 | 部分食開始の20分前 |
| 撮影終了 | 部分食終了の20 分後 |
| ラベル | ライト |
| ISO感度 | ISO400(基準) |
| シャッタースピード | 1/500秒程度(基準) |

月食撮影で最も厄介なのが、明るさの変化です。部分食から皆既食にかけて、月の明るさは数十~数百倍も変動します。これを手動で追いかけるのは現実的ではありません。
そこで「露出補正」のドロップダウンから「月食」を選択すると、食分に応じて自動的に露出補正が行われ、撮影者は露出調整から解放されます。
さらに安心感を高めるのがブラケット撮影です。ステップを「1」、枚数を「2」に設定すれば、標準露出を中心に前後2段階ずつ、計5枚が自動で撮影されます。
注意:月食露出補正は平均的なモデルに基づいています。実際の明るさは月の地平高度や雲の通過などによって大きく左右されます。1982年や1993年の皆既月食では、火山噴火の影響で月がほとんど見えないほど暗くなりました。ブラケット撮影を併用しておけば、こうした予測不能な変化にも余裕を持って対応できます。

システム構成例:望遠鏡に取り付けたカメラ、赤道儀をノートPCに接続し、「ステラショット3」でシステム全体を一括制御する構成がおすすめです。
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